日本における、うつ病の医療現場と新薬開発

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国内での現在のうつ病患者数は、未受診を含めて推定400万人~600万人に増加しています。うつ病の中でも受診する割合は30%以下という統計結果がありますが、受診しない原因として、周りに知られることを恐れて精神科を受診しないという理由であったり、抗うつ剤の効果に疑問を持っている場合などがあります。

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ー国内の有病率の低さと原因ー

アメリカの精神障害者の受診率が35%であるのに対して、日本では12%に過ぎません。しかし、日本では抗うつ剤の新薬が出ると診察を受ける者が2倍に増えるという現状から、治療内容に疑問を抱いている者が多いと思われます。

また、医師が「うつ病」という診断を下さないことも原因の一つになっています。診断は下しませんが、抗うつ剤は処方するというのが日本の医療の問題でもあるようです。精神保健医が増加しているにも関わらず、診断書に病名は書けず診断も治療も行えないという現状もあります。抑うつという症状名で延々と抗うつ剤を処方される患者の場合は、「うつ病」に該当しません。

というわけで、うつ病の患者を抱えている日本でも、治療薬はMR(製薬会社の医薬情報担当者)によって販売促進が行われています。診察室に堂々とMRが入り込んで、新薬に関する長話をしていくという日本の医療現場の問題もありますが、最近ではMRの説明範囲が増えたこともあり、新薬の販促もある程度受診率の向上に役立っているのかもしれません。

ーうつ病の新しい治療薬ー

日本で比較的新しい抗うつ剤として世界で最も処方されているのがSNRIのサインバルタですが、まだ日本での処方実績は少ないようです。セロトニンとノルアドレナリンの濃度を上げる事は良く知られていることですが、前頭葉のドーパミンを増やして気力改善に役立つものです。ノンレム睡眠を減らす他のSSRIと異なるところです。

うつ病の60%以上が何らかの神経の痛みを持っていると言われています。サインバルタには心因性疼痛にも効果があるので、うつ病の治りも早くなるというのも効能の一つです。抗うつ剤の中でも、効きすぎるレクサプロとほとんど効かないルボックスの中間的存在がサインバルタです。

2007年に適応症がうつ病に広がり、国内発売を始めた抗うつ剤として、従来の抗うつ剤と併用するタイプのドーパミン神経安定化作用を持つエビリファイ(【般】アリピプラゾール)があります。(併用による相互作用は多いため、エビリファイ単体で使う方が効果があるという場合も多いようです)

前頭葉で不足しているドーパミン濃度を増やすことで、感情表現不足や自閉などの症状改善を行い、中脳周縁部ではドーパミンを減らすことで幻覚や妄想を改善できるというものです。

ーうつ病の怪しい治療法に注意ー

脳深部刺激療法という脳皮質に電極を埋め込んで電気信号を与えるという、大胆な発想で危険を予知しない治療法がありますが、「なぜうつ病に効果があるのか、科学的には十分解明されていません」というコメントが無責任です。

rTMS(反復性経頭蓋磁気刺激)とは、厚生労働省がとある入院設備の整った病院での治験を許可したもので、脳に磁気刺激を与えれば何らかの効果があるのではないか?という19世紀の発想が尾を引いているものです。「脳に与える影響は、現在研究途中」ということで、MRIが脳に悪影響を及ぼすデータがないため、副作用はないが作用は不明というレベルです。至近距離の磁場によって脳内に電流が流れる事は明らかで、てんかん発作が起きる事も考えられて危険性の高いものです。

どちらも保健適応ではなく、個人病院が最先端医療と称している程度です。一時的に効果があったとしても、効果の再現には長期間の磁気刺激の継続が必要になると予想されます。

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