
女性の社会進出に伴うストレスや疲労が原因になった結果、自律神経に異常をきたして急性ストレス難聴(急性低音障害型感音難聴)を起こすことがあります。稀に男性にも起きますが、20代~30代の女性に多い病気です。ストレスが原因になるためストレス難聴に分類されていますが、他の心因性難聴や突発性難聴、まったく聴力がなくなってしまうようなストレス難聴とは少し違う性質を持っています。 スポンサードリンク
ー急性ストレス難聴特有の症状ー
耳鳴り、難聴といえば、突発性難聴が思い浮かびますが、症状は全てストレスや過労、睡眠不足などが原因であって急性ストレス難聴にも共通する症状です。しかし、急性ストレス難聴は耳の器質的な障害ではない場合がほとんどです。職場や育児、介護、家庭内などでストレスを受けやすい女性に多いといわれ、30代が最も多くなっています。
器質的障害とはその器官に病変などの異常が認められるもので、明らかに聴力の悪化などが認められることが多いものです。反語として機能的がありますが、機能的障害とは器官に異常を認められないもので、ストレスなどの自律神経が影響する心因的な症状が多く、その影響として耳の器官に影響を及ぼしているものです。
ストレス難聴と異なる点が多い急性低音障害型感音難聴の特徴として、会話などの低音域の聴力に問題があり雑音が混ざることで声が聞き取りにくいというのが一般的に知られている症状ですが、めまいを伴うものではありません。
発症初期ではメニエールと突発性難聴の症状と似ているため、急性ストレス難聴は混同されやすいですが、異なる治療法が必要になってきます。難聴と耳鳴りと回転性めまいがあればメニエールの疑いが出てきますが、めまいのない蝸牛型メニエールがあるので紛らわしい部分もあります。
ー急性ストレス難聴の症状と治療ー
ストレスから起きる心因性疾患としての急性ストレス難聴でも診療科は耳鼻咽喉科です。急性ストレス難聴の場合、内リンパ水腫により耳に水が溜まっている感じがありますが、耳抜きをしても改善されないのが特徴の一つです。これに対して利尿剤によってリンパ水腫の水抜きを行うことと、ビタミンB12によって内耳の神経を賦活することや脳代謝改善剤などを使用することが主な治療になります。
自然に回復するのが一般的ですが、その場合でもストレスとなる原因を取り除かない限り、何度も再発を繰り返します。2~3週間にわたって長引くこともあり、治癒しない場合は慢性化します。
軽度の難聴が慢性化すると難治性のストレス難聴になりますが、上手にストレスと付き合うことも必要です。一見難しそうですが、ストレスを受けるような状況に甘んじて、ストレスを排除しようとしない姿勢が大切です。ストレスを日常的に受けることが多い社会だからこそ、ストレス耐性を身につけることも必要です。
また、軽い運動をすることによって次第に治っていくと言われています。その例でも長期間治らなかった場合は治癒までに数年単位の長期間を要します。また、難聴が治ってもメニエールに移行する場合があるので、ストレスが原因とはいえ面倒な病気です。

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