新型出生前診断(無侵襲的出生前遺伝子的検査)について。

akatya

従来の出生前診断として羊水検査を行うだけであっても、入院扱いの上侵襲的な検査でした。現在の新型出生前診断の場合は費用は8分の1(神戸大学医学部付属病院では194,000円 2015年4月)で精度は8倍にアップ。母体から血液を採取するだけで簡単に3種類の染色体異常が判明するという、非侵襲的出生前遺伝子検査(NIPT)とも呼ばれています。

スポンサードリンク



ーNIPTの検査概要と不備ー

日本国内では2013年4月から特定の医療機関で検査が始まり、染色体異常が見つかった1.9%の113人にあたる97%が高齢出産を理由に中絶を行ったとのこと。検査を受けた妊婦の平均年齢は38.3歳ということですが、当然ながら倫理上の問題も出てきます。

医師による事前の説明責任とカウンセリングの技量の無さが問題になっている一方、妊婦側の検査内容の概要や検査結果の意味するものに対する理解の無さも問題になっています。

高齢出産の不安から、単に染色体異常が見つかれば中絶を行うという理由で検査を受けているようにも見受けられます。検査による流産率がゼロであることから安易に染色体の検査を受けている可能性も捨てきれません。

ー検査で判明する染色体異常ー

母体の血液中にある胎児由来の遺伝子を解析することによって、従来の羊水検査によるダウン症などの染色体異常だけでなく、性別や染色体異常の有無、出生に関する異常の判断では、21トリソミー(ダウン症)、18トリソミー、13トリソミーの3つの染色体異常が対象。

トリソミーとは通常2本の染色体が3本あるという染色体異常。染色体が1本のモノソミー、4本のテトラソミー、5本はペンタソミー、コピーを3つもつという2×3の6本ではヘキサソミー(コピーの場合は正常)なども考えられます。そして、染色体がさらに増加する異常がないかという2点に絞って検査が行われます。

高確率で罹患の可能性があるに過ぎず、確定のためには従来の羊水検査と絨毛検査が必要になります。血液を採取して染色体の検査を行う非侵襲的なスクリーニングとはいえ、羊水検査で確定診断を受ける基準は何なのか?という疑問も残ります。13、18、21番染色体以外に異常の可能性があると考えられる場合は、この検査を受けられません。多胎妊娠(ふたご以上)の場合も検査を受けることは難しいとされています。

その他の染色体異常はわからないと言われていますが、実際は一目見ればわかります。それが母体由来なのか、胎児由来なのかという問題や、その他の倫理的な問題も含んでいると思われます。その場合は羊水検査や絨毛検査による染色体検査を推奨されます。

ー染色体検査の限界と問題点ー

陰性的中率は100%でありながら陽性的中率は80%程度に過ぎません。染色体異常がないと断言できても異常があると断言することは難しい、という結論です。陰性でない場合は偽陽性になり、結果的に確定診断のために羊水検査を受けることになります。そういう意味では、この染色体検査はスクリーニングに過ぎないと言い切っても問題ないようです。

スクリーニングであれば、従来にも血液検査によるトリプルマーカー・スクリーニングが行われていたこともあります。従来の染色体異常の絞り込みと、現在の検査では「染色体異常がないという確認作業」に過ぎないという見方もできます。

陰性の場合は特に問題点はないとしても、偽陽性ではなく、陽性と判断された妊婦の20%は誤診ということになります。染色体異常があれば97%が中絶するという現実問題もあり、陽性の検査結果の末に、確定診断を待たずに中絶したら正常だったというケースもあります。

ヒトの染色体はコピーされて存在するため、4本の場合のテトラソミーは、実は2本×2のコピー型多数の正常型と間違えやすいのも問題です。陰性は確実ですが、陽性は追加検査が必要なタイプであって、悲観することなく偽陽性の可能性は捨てきれないと考えておきましょう。

染色体異常が見つかったのであれば、転写し直せばいいんじゃないの?とか、遺伝子組み換えでダウン症は治らないのか?という声も聞こえてきそうです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
スポンサードリンク







関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

スポンサードリンク

お役に立てたらいいね!

ページ上部へ戻る