筋委縮性側索硬化症(ALS)と難病に対する医療費助成削減

isyakiiro

筋萎縮性側索硬化症(ALS)という、筋肉の委縮と筋力低下を起こす難病指定の病気があります。10万人に数人と言われるの難病ですが、難病の発症確率自体どれも同じようなものです。医療費助成の対象は症状が重い患者に限り、現在の56種類から300種類に増やすべきという報告書がある中、所得に比例した負担額を設定しようという厚生労働省の新案に不満の声も聞かれます。

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◇難病ALSの新しい治療薬

ALSは筋肉の委縮と筋力低下を招く進行の速い神経の疾患で、脳から脊髄までの上位運動ニューロンと脊髄から筋肉への下位運動ニューロンの障害が進行する疾患で、筋肉の委縮は全身性で、歩行困難から始まり、言語障害、嚥下障害を経て呼吸障害を起こしますが、脳には全く障害が出ないのが特徴です。思考回路や知能は正常であるだけに次第に症状が進行していきながら意思の伝達が出来なくなります。

3年から5年の間に呼吸筋麻痺によって半数が死亡するといわれています。確立した治療法はなく、現在の治療薬では進行を完全に抑えることは不可能でした。難病の中でも特定疾患とされて臨床調査研究対象であり、公費負担は一部または全部となっています。(医療費全額公費負担の患者は60%)

新たな選択肢として従来の50~100倍の高用量メコバラミン製剤が、ALSに対する新薬として申請されています。発症後12カ月以内の治療開始によって運動ニューロンの保護作用と神経再生作用の有効性が確認されたとのことです。患者にとっては朗報ですが、医療費負担増を免れない可能性も出てきました。

◇自己負担額を3割から2割へ

難病に認定された患者の医療費自己負担割合を、3割から2割に引き下げて上限額が設定されるという厚労省の新案です。また、従来の指定難病数56から300に拡大され、小児の慢性特定疾患では514から704の疾患が適応になります。

適応疾患が増えて、助成対象患者が増えたような印象も受けますが、実際のところは3年間の移行期間を経て、従来の無負担の患者でも2割負担に引き上げられることになります。難病指定申請を行っている患者の認定基準も上がると予想されます。

現在の自己免疫性疾患でもある心臓サルコイドーシスでは、ペースメーカーを埋め込むことが難病認定の基準になっています。それまでの負担額が大きいため治療を受けない患者も多くいますが、難病でありながら何の助成も受けられないという現実もあります。認定基準の引き上げによって、ALSも特定疾患から外される可能性も出てきました。

◇難病指定と難病の定義

2015年以降の難病認定は難病を扱う指定医療機関で難病指定医によって行われます。また、難病の医療費助成制度の変更により、2017年3月31日までの経過的特例として、難病の診断と治療に5年以上従事した医師が難病指定医として、患者の難病認定をすることができます。また、医師と医療機関ともに難病指定医の資格更新の必要があるので手間のかかる手続きになっています。

難病の定義の一つとして、「原因不明で治療法が確立されていない疾患であり、かつ後遺症が残る可能性がある場合」とされているので、治療法が確立されれば、すでに悪化している場合でも公費負担による医療費軽減が行われなくなる。という意味を含んでいます。

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