治療薬はいまだに臨床試験段階の難病ALS

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以前に難病患者の自己負担増加について書きましたが、その際に出てきた難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)は、全身の筋肉が次第に動かなくなってしまうというもの。治療薬は開発されたとしても臨床試験の段階の順を踏んで投薬が行われるという状態で、患者が死ぬまでに間に合わないという日本の治験制度のもどかしさを感じます。

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◇迫られる究極の二択

厚労省が指定している300の難病の内の一つ、筋委縮性側索硬化症(ALS)。突然発病して次第に筋力を失っていき、口の動きで意思の疎通を行っていたものの、その筋肉も動かなくなり、最期に目しか動かなくなっていくという難病のひとつ。最終的に呼吸筋が麻痺して呼吸不全によって死亡します。

延命措置として人工呼吸器をつければ生きることができるとはいえ、治療方法が見つかっていないため、一度延命措置を取ると誰も外すことはできません。治る見込みがないので、人工呼吸器をつけるか安楽死をするか?という最後の二択に迫られます。

70%が苦痛を避けて安楽死を選択していますが、残りの30%は生きる望みを捨てず、気管切開を行って人工呼吸を行っているというのが現状です。脳は100%働いているとはいえ、意思伝達の方法を失っていくため最後に残るのは眼球運動だけになります。

◇症状が悪化していった末に。

メディアでも取り上げられて時の人になっている広告プランナーの場合、次第に筋力を失っていき、現在では目しか動かないという状態に陥っています。目の動きでPCの文字入力が可能になっているので、かろうじて意思表示を行うことが出来ます。

運動ニューロンだけが障害を受けて、運動に関する筋肉が全て萎縮して使えなくなりますが、内臓機能や視力、聴力、皮膚の感覚や脳の機能は衰えることはありません。しかし、眼球の動きまで失ってしまうことになると、意思の伝達は不可能になり、暗闇の中で金縛りになった状態が延々と続くと言われています。

◇ALSは脳死を超える苦痛?

脳死寸前でも眼球運動は可能で、意思表示ができないもどかしさは相当な苦痛です。例え脳死した場合でも脊髄反射で眼球は下に動きます。上には動きません。

ALSの場合は運動ニューロンの障害で瞼も眼球も動かなくなり、いつまで続くかわからない暗闇の中で、脳と内臓は正常な機能を保ちます。この恐怖は理解できますが、「なぜ治験途中の治療薬を早く使わないのか」という不満も出ています。(現在使用されているALSの薬はリルゾールのみ)

◇新薬が開発されても使わない現状

最近になってALS抑制遺伝子の異常が発見されています。SOD1、TDP43、 FUS、 optineurin、 C9ORF72、 SQSTM1、 TUBA4Aなどの遺伝子異常により運動ニューロン障害の抑制が行われなくなります。

その原因遺伝子の全てが明らかになり治療薬が治験段階であるとしても、厚労省は薬事法に基づいて、ALSに限定して例外扱いすることはあり得ません。例外としては、治験を他国に任せて短期間で済ませることはあります。

ALSの特効薬でもある高用量メコバラミン製剤も、新薬として治験の段階が続いています。当然のことながら、新薬の恩恵を受ける事もなく、その間に亡くなっていく者がいます。

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