「国境なき医師団」の活動内容と結核菌のワクチン不足

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国境なき医師団とは中立、公平的な立場で医療や人道支援活動を行っている民間の非営利団体です。ボランティアだけで構成されて、活動資金は主に寄付金で行うという国際団体で、NPO法人としての活動を行っています。

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◇国境なき医師団の活動とは

現在では3万人以上のスタッフが世界70か国にわたり、原因で最低限の医療も受けられない人々の救済に当たっています。国境なき医師団は1999年にノーベル平和賞を受賞しましたが、その賞金を加えたところで十分な量の活動資金や薬品の購入に充てることも出来ず、途上国では感染末期になると手の打ちようがなくなります。

医師だけでも4,700人を超えますが、全世界の結核菌感染者は3分の1に上ります。単純性結核の診断と治療に時間がかかるのも問題です。早期治療のための診断と感染予防が必要になってきますが、2011年に新しい検査機器が導入されたため、結核菌の種類と薬剤耐性を数時間で検出できるようになりました。

しかし、最も迅速な診断には血液検査と尿検査が必要で、体内に潜んでいた結核菌が免疫力や体力の低下により、潜伏性結核から活動性結核へと変わります。活動性結核になると肺結核の症状が出てきます。活性度を増すと肺だけでなく全ての臓器に感染が広がります。

◇孤独な多剤耐性結核

結核菌の有病率が高い国はHIVで免疫力の低下した患者で発病しています。世界的に多剤耐性結核(MDR-TB)の感染者が1,200万人の患者の内、次第に数を増やして現在では65万人に増えて、史上最悪の平均死亡率になっています。

多剤耐性結核を発病すると周りから偏見の目で見られるだけでなく、家族を失うともいわれています。咳や発熱・痰が持続して、治療を受けない限り死亡する確率が増えます。

5年以内の死亡率が50%で、20%が慢性化、30%が自然治癒するという統計結果がありますが、症状悪化が早いわりに意外と死亡率は低いような印象があるのは気のせいでしょうか。家族と会えることもなく孤独死する者が増えています。

◇とにかくワクチンを

人口比対結核患者の多い南アフリカでは多剤耐性結核が80%であり、3種混合の抗生物質を2年間服用しても治癒に至らない場合があります。そこで、感染する前にワクチンを、というのが手っ取り早くて、一人当たり8円で済む方法です。

国境なき医師団(MSF)は、29か国のスラム街や難民キャンプなどの施設で結核患者の治療にあたっています。現地のNGO法人と連携していますが、いまだに140年前の診断方法でもある、顕微鏡による視覚的な検査が行われています。

抗生物質もストレプトマイシンに次ぐイソニアジドが1952年から使われ始めて、現在でも肺結核治療の第一選択薬になっています。しかし耐性菌が増え始めて、リファンシピン、フルオロキノロンの抗生物質が使われています。

◇国内の肺結核患者は?

しかし、国内に目を向けると、日本の結核罹患率は10万人あたり19人を超えて、先進国の中ではトップになっています。自己免疫疾患や化学療法を受けている場合は肺結核に罹患しやすくなるのがその原因と言われています。

2007年に結核予防法が廃止されましたが、再び再燃してきていることから2類感染症(公費負担)として感染症法の適応を受けます。また、現在ではツベルクリンは廃止されて、全員がBCGを受けることになっています。

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