閉じ込め症候群の苦痛と、医療の進歩が差し伸べた意思疎通の手段 | 家庭医学の知識大百科「ヘルスカレッジ」~家族を大病から守るためのサイト~

閉じ込め症候群の苦痛と、医療の進歩が差し伸べた意思疎通の手段

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脳底動脈の損傷などにより、人間の生命活動に最低限必要な脳幹の中でも、最も治療が困難とされる橋(きょう)という部分に出血を起こした場合、何の処置も行われず自然死を待つことになります。一見すると脳死状態に近いように見えますが、仮に意識がある場合、この状態は「閉じ込め症候群」と呼ばれ、人間として最も苦痛が大きい状態と言われています。

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◇植物状態と診断された患者の苦痛

近年になって、機能的核磁気共鳴画像(fMRI)を用いて脳内の血流をリアルタイムに表示できる画像診断を行うことで、ニューロン活動の有無を血流を介して視覚的に確認する事が可能になってきました。そして、10年以上に渡って植物状態と診断されていた多くの患者に意識があることが判明しています。

脳内の代謝部分の違いにより、植物人間と言われている患者の意思をある程度確認できるということが可能になり、「意思表示を果たしたかった」という苦痛が癒されていく患者が増えています。今世紀における医学の進歩の中では最も大きな朗報かもしれません。

◇橋や脳幹が及ぼす運動障害

橋(きょう)とは脳の中で最も重要な役割を果たしている脳幹の一部であり、橋を介して小脳の運動神経や知覚神経が経由する部分なので、その部分の障害により首から下の運動機能に麻痺があるだけでなく、聴力・視力・顔面神経(表情はもちろん、瞼の開閉など)に麻痺を起こして意思表示さえできない状態になります。

逆に脳幹だけが機能しているケースでは、人間として最低限の機能しか残されていません。心肺が動いているに過ぎない場合が多く、この場合は植物状態と言われます。

しかし、脳出血や脳梗塞などによる脳幹の障害の場合、大脳に損傷が及んでいない場合が多く、感情もあり通常の思考が妨げられるとは限りません。意思表示が出来ない場合に「植物人間」であるとか「昏睡状態」という誤診が日本を含む世界中で多く発生しています。

◇意思表示の方法とは?

fMRIを用いた脳代謝の反応を見る検査方法を用いて、昏睡状態と考えられていた患者をテストしたところ、「あなたは結婚していますか?」「あなたはテニスをしますか?」などの複数の質問に対して正確にイエスとノーの意思表示が出来たといいます。

通常は眼球運動を失った場合でも聴力は最後まで残りやすいので、無反応の間も全て会話が聞き取れていたと思われます。

この質問ですが、仮に10年間以上に渡って意識がないと思われていた患者が、話しかけられることもなく暗闇の中で過ごしていたとして、意思表示を出来る機会を得たものの、唐突に「あなたはテニスをしますか?」と聞かれたとして、喜怒哀楽の感情の方が大きいように思えます。

もう少し気の利いた質問をしてほしいとか、意識がある事を分かってくれた喜びもあるはずですが、冷静にYesという反応だけというのは納得し難いものです。

◇今後の医療の発展に期待

ともかく、これを機にリハビリや脳代謝改善剤、加圧酸素療法、血行改善などによって、眼球運動の回復から始まって、手足が動かせるまでに回復していると言われています。文字盤を使って医師の伝達が出来るようになる患者もいます。

植物状態や昏睡状態の誤診は減らないようですが、意識の有無を確認する方法が確立されて、患者が失った時間を取り戻すことが出来る可能性が増えてきました。

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