糖尿病網膜症の自覚症状の無さと、定期的な眼底検査の必要性

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糖尿病が眼の血管に与える悪影響は大きく、糖尿病の三大合併症(糖尿病性腎症・糖尿病性神経障害・糖尿病性網膜症)の一つに分類されています。糖尿病性網膜症が失明の原因として最も多いものでしたが、近年では緑内障に次いで2番目に多くなっています。

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◇糖尿病性網膜症の原因と症状

糖尿病発症後20年間の追跡調査によると、1型糖尿病の100%、2型糖尿病では60%の患者に糖尿病性網膜症が起きるという結果があります。また、糖尿病の進行度に比例して網膜症も悪化します。全国で950万人(予備軍を含めて2000万人)にも及ぶ糖尿病患者の著しい増加に伴って眼疾患が増えているのが現状です。そして糖尿病性網膜症の失明者数は年間3,000人以上といわれています。

糖尿病による血糖値の上昇がそれほど高くない場合、自覚症状は何もありません。糖尿病という自覚もないので医療機関に赴くこともありません。しかし、徐々に糖尿病が進行している間に、合併症も進行しているという面倒な事が起きます。

「糖尿病の合併症が怖い」と一般的に言われているものは、主に血管への影響によって引き起こされる合併症が多く、進行すると深刻な事態を招くことを意味しています。糖尿病性網膜症は進行すると改善することはありません。

原因と症状は加齢黄斑変性と似ていますが、網膜の中心の黄斑部分に出来るとは限らず、網膜全体に影響します。網膜の下にある網膜色素上皮細胞に張りめぐらされた毛細血管の先に強度の低い新生血管が出来ることで、血管からの浸出液や出血などが原因となって網膜に悪影響を及ぼしますが、出血が無い場合は進行が遅いので気付きにくいものです。

◇糖尿病性網膜症が悪化すると

網膜の下の血管の血行が悪くなると、新生血管から出血が起こるようになります。眼底出血によって視力低下から症状が始まって、視界が歪む変視症が起きる事で症状を自覚するようになってきます。糖尿病の悪化とともに、網膜症も悪化していきます。

面倒な点はこの症状が不可逆的ということです。糖尿病も治癒しない病気ですが、糖尿病の進行を遅らせることができても視力低下から網膜剥離が起こり、失明に至るまでは進行が早くなることがあるので、糖尿病と診断された時点で、定期的な眼底検査が必要になってきます。

また、脳梗塞や心筋梗塞などの血栓防止剤としてアスピリンを服用している場合、脳出血があると出血が止まりにくくなりますが、網膜の新生血管の出血を引き起こすか?という問題では、進行度と関係しないということが明らかになっています。

◇糖尿病性網膜症の治療

網膜の新生血管が問題になるので、光線力学的療法(PDT)と併せて抗VEGF抗体療法が行われることがあります。この治療法は保険適応になっていますが、未だに高価な治療であって、光線力学的療法のレーザー治療は1回で済みますが、3割負担で20万円程度。核酸医薬品の注入は1か月に1回の間隔で治療するため、高額療養費の対象にならない部分が増えてきます。

進行すると治る事がないため、出来るだけ早期からの予防と検査は欠かせないもので、日本糖尿病眼学会では定期的な検査を受けさせることを目的とした手帳の発行を行って、2~6か月毎の眼底検査の促進により悪化を防ぐ手段としています。

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