
糖尿病の三大合併症の一つになっている糖尿病性腎症とは、毛細血管からアルブミンが滲出することで糸球体のろ過機能が低下します。そしてネフローゼ症候群が起こり、体内の老廃物の排泄が行われなくなり腎不全へと進行していきます。 スポンサードリンク
◇糖尿病性腎症の原因と症状
糖尿病の影響として、糸球体の細小血管が硬化して脆くなることで、腎臓の糸球体の数が減少していくという疾患です。全身の動脈硬化に至るまでに、すでに高血糖の状態が数年から数十年経過しています。
糸球体に影響が及ぶと、糸球体の脆くなった毛細血管から血漿中のタンパク質が滲出しやすくなるのが原因で尿からタンパク質のアルブミンが排出されるようになります。この時に治療を開始すれば透析を免れる事ができますが、定期的な検査を受けずに放っておくと70%の糖尿病患者が人工透析を行うことになります。
◇糖尿病性腎症の進行と予防
第1期
血糖値の上昇により糖尿病と診断された時点で第1期になります。腎臓が正常な段階でも糖尿病食で血糖値コントロールを行い、タンパク質の摂取制限も必要になってきます。糖尿病になると血糖値のコントロールはもちろん必要になりますが、合併症としての腎症を起こさないための検査や早期治療も必要になってきます。
第2期
尿検査で微量のアルブミン尿が検出されるようになります。血糖値のコントロールを行いながら、この時期までにタンパク質が漏れ出さないための定期的な尿検査と投薬を行います。この段階では自覚症状はありませんが、第1期から5年以上経過してタンパク尿が検出されるため、ある程度の時間的な余裕はあります。治療が有効になるのもこの時期までになります。
第3期
持続的にタンパク尿が検出されると、血糖値の厳密なコントロールや血圧の管理が必要になってきます。浮腫が起きると水分制限が行われるようになります。血圧が次第に上がってくるため、高血圧対策としてナトリウムの制限も行われます。
元々高血圧を併発している場合は腎不全への進行が早くなり、降圧剤としてアンジオテンシンⅡ拮抗剤が使われますが、降圧効果と同時に腎障害の進行を抑制する効果もあります。ただ、進行を遅らせる処置だけになり、腎機能の改善は期待できなくなります。血圧の目標値としては130/80ですが、一時的に1gの蛋白尿があると125/75まで下げる必要があります。
第4期・第5期
腎不全が起きると尿毒症の症状として、倦怠感や吐き気、かゆみ、精神症状などが出てきます。腎機能が低下するとインスリンが腎臓から排泄、または体内に溜まることで血糖値のコントロールが難しくなります。透析を行わないまま経過すると尿毒症の悪化により死に至ります。生体腎移植により健康な人の腎臓を移植すると、腎臓が2つある状態の濾過機能を保つことができます。
血糖値のコントロールができていれば腎症の進行を抑えることができるにも関わらず、糖尿病の15%が糖尿病性腎症で亡くなっているのが現状です。

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