ヤコブ病の薬害訴訟事件と薬害被害者救済の道

byouin2

薬害の被害者になった場合には、訴訟を起こさない限り、和解金や補償金を含めた被害者救済が行われないのが現状です。最初の判決が確定された場合は、判例に基づいてその後の訴訟はスムーズに進むものですが、和解であれば具体的な判例と言えないだけに、弁護士料も必要になってきます。

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◇ヤコブ病の薬害とは?

ヤコブ病とは、脳外科で一般的に使われていたヒトから作られた乾燥硬膜(頭蓋骨に近い髄膜で、くも膜の外側)を移植する際に、ドイツのブラウン社製ヒト乾燥硬膜(商品名:ライオデュラ)がヤコブ病病原体に感染していたため、移植された患者が次々とヤコブ病を発病していったというものです。

ヤコブ病(別名プリオン病)を発症すると、異常プリオン蛋白が増加すると中枢神経に障害が起きて進行していきますが、現在でも治療法のない病気です。やがて歩行障害や視力障害が進行して動けなくなります。痴呆や意識障害などの精神症状や神経症状も進行していき、わずか数か月ほどの間に無動、無言の状態が続き、1~2年後に死亡します。

脳神経外科の開頭手術では最初に硬膜を切り取るため、最後に一部の硬膜が不足します。それを補うために乾燥硬膜を使用しますが、1973年に厚生省が承認したヒト乾燥硬膜(ライオデュラ)の原料となる硬膜の一部にヤコブ病病原菌の感染があったため、他の硬膜に感染が広がっていったというもの。

◇厚生省のチェック体制の甘さ

メーカーの滅菌処理や保存状態が悪かったことが原因となり、その感染した硬膜を日本の元厚生省が何のチェックも行わないまま、米国の警告を無視して認可を取り消さず、40~50万枚を輸入して30万人に移植した結果、感染者が増えたというものです。

使用停止までの経過として、米国食品医薬品局(FDA)が安全警告、英国が認可取り消し、メーカーが自主回収、その後、最も出遅れた日本の元厚生省が回収命令を行ったというもので、回収を行うまでに感染者が増えていったという厚生省の不手際と、医療機関が警告を無視して感染した乾燥硬膜を使い続けたことや、メーカーが回収を始めた後にWHOが実質的に使用禁止扱いにするまで、厚生省が回収を行わないどころか、認可を続けたまま輸入を行ったという点が最も大きな問題です。

この場合は医療行政(厚生労働省)のチェック体制が無かったことや、不適切な対応による間接的な関与が原因となっているため、薬害と言われるものに該当します。

◇薬害被害者救済の道とは?

元厚生省の過失は明らかなので、過失は証明済みであり弁護士としては楽な訴訟ですが、行政に過失がある薬害の場合であっても、40万人の被害者を出したB型肝炎の場合も損害賠償請求などの行政訴訟を起こさない限り、国からの補償金を受け取る事が出来ないというのが現実です。ヤコブ病では全国で訴訟が提起されて、患者遺族が和解に応じています。

1人でも確定判決によって判例が出来ると、他の訴えていない遺族が訴訟を起こすのは簡単ですが、2001年の最初の1家族の結審に至るまでは、弁護団は実費しか請求しなかったため訴訟が可能になったとのことです。今後の薬害に対する行政訴訟が簡単に行えるように被害者救済のために便宜を図ってほしいものです。

現在、確立されている被害者救済の一例として、B型肝炎の場合は薬害(集団接種)の事実が証明されれば国が弁護士費用と検査費用を支払うことになっています。治療費に加えて、慢性B型であれば1250万円、肝硬変であれば2500万円という賠償金が受け取れる制度になっています。

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