酸素欠乏症の原因と症状、避けることが難しい労働災害

yukiyama

1気圧の大気中に含まれる酸素は21%ですが、18%が生存限界です。16%を切ると酸素欠乏症に陥り、脳細胞にダメージを受けるため大脳皮質に影響が出てきます。脳の酸素消費量は全体の25%であるため、酸素の欠乏は大脳皮質に影響を与えます。

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◇酸素欠乏症の原因とは?

酸素濃度の厳密なチェックを行っていない限り、酸欠の危険は常に伴っています。通常は肺の肺胞で酸素を取り込んで二酸化炭素を排出するということを行っています。これは圧力の差(分圧の差)によってガス交換をしています。

酸素欠乏症とは酸素の濃度と気圧(分圧)が関係してくるので気圧も関係して酸素の取り込み量が減ってきます。酸素欠乏に伴って脈拍と呼吸数が増えてくると、呼吸中枢や心臓中枢が刺激されて、症状として頭痛や吐き気などの自覚症状が出てきます。

通常、肺胞の酸素が16%なので、21%の酸素中では酸素を5%取り込みます。もし、窒素100%のガスを吸ったとすれば、酸素が0%なので16%の体内の酸素が外部に出る事になります。酸素0%であれば1度呼吸するだけで呼吸停止を起こして死亡します。これが酸素欠乏症を起こす原因となり、労働災害としてよくあるものです。

◇よく起こりがちな酸欠と労災

酸素が少ない状態のタンクに入った場合、めまいを感じるものの、二酸化炭素があるとは限らないので二酸化炭素による息苦しさを感じません。そしてめまいと共に倒れてしまい、急激な筋力低下を起こして助けを呼ぶことも出来ず、自力で脱出することが出来なくなります。

低酸素状態では即死することもありますが、濃度によってはしばらく経って意識障害を起こす事があります。どちらにしても死亡しますが、それを偶然見つけた場合でも同じ症状で倒れてしまい、二次災害、三次災害と連鎖していきます。

一度の呼吸が災害を招くということで、酸素濃度がわからないタンク内に入る時は酸素濃度を計測しながら入るものですが、測定器がなく急を要する時は、絶対に呼吸をしないことが必要になります。少しくらい酸素が残っているかもしれないという危機感の無さが致死的な状態を招きます。

◇危険な酸素濃度と労災防止

酸素濃度16%では肺胞から取り込めないので、安全限界を超えて窒息と同じ状態です。呼吸数と脈拍が増加して大脳のダメージにより頭痛、吐き気が起きます。12%ではめまいや筋力低下、8%では失神を起こして数分で死亡、6%以下では一瞬で呼吸停止に至って死亡します。

密閉された部屋での作業の場合は次第に酸素が消費されていくので、最初に脳が酸欠を感知します。次に疲れや倦怠感、めまいが出てきます。さらに続くと体の痺れが出てきますが、この時に多幸感を感じる事があります(雪山の寝たら死ぬ状態)。この状態では思考力も低下しているので、そのまま筋肉に力が入らなくなって苦痛の無い死を迎えます。

といっても作業中です。次第に酸欠になっていくときに二酸化炭素が増えているので、息苦しさを感じるはずです。頭がぼーっとして息苦しさを感じたら換気をしましょう。

16%以下で酸素不足によるATPの産生が行われなくなるので、筋力が次第に低下していくのが自覚症状です。14%未満になると転落の危険性が高くなり、さらに条件の悪い所に落ちる可能性もあります。

酸欠の危険がある作業場所では、「酸素欠乏危険作業主任者技術講習」を受けた者が作業主任者として監視を行う必要があります。「酸素欠乏症等防止規則」では、全面マスクにより、酸素濃度14%の環境までは電動送風機で酸素21%の空気を送ることで対応できます。14%未満では酸素ボンベの携帯が必須です。

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