
強皮症(きょうひしょう)とは皮膚や内臓が硬化する膠原病で、現在の一般的な呼称は「全身性強皮症」であり、びまん皮膚硬化症と限局皮膚硬化型に分類されますが、限局性皮膚硬化症は膠原病ではないので、強皮症とは全身性強皮症の原因と症状を指しています。 スポンサードリンク
◇強皮症の概要と症状
強皮症とは手の指から始まって全身の皮膚が硬くなっていく疾患ですが、最初に出る症状としてはレイノー現象というものが見られます。冷たいところで手の指から色の変化が起きて、白から紫になり、やがて真っ赤になるのが最も判りやすい症状です。これは全身の毛細血管の炎症による症状で、毛細血管や細小血管を持つ肺や腎臓にも炎症が原因になる障害が起こります。
強皮症の患者では自己抗体反応がみられる事から、自己免疫疾患とも言われて治療法が確立されない原因不明の疾患になっています。症状が急速に悪化するわけでもなく、時間の経過や薬剤の使用によってある程度改善していくと言われていますが、効果に根拠のある薬剤は発見されていません。
◇全身性強皮症の診断基準
国内に約2万人の患者が難病として診断を受けていますが、進行が遅いため受診しても強皮症と診断されない場合が多く、軽症の全身性強皮症を含めた患者数は把握されていません。30代~60代の女性に多くみられ、国内の男女比では男性1に対して女性が12で、診断基準としては自己抗体の種類を検査します。
抗セントロメア抗体、抗トポイシネラーゼ抗体、抗RNAポリメラーゼ抗体などが検出されると全身性強皮症と診断されます。また、抗体によって「びまん皮膚硬化型全身性強皮症」と「限局皮膚硬化型全身性強皮症」に分類されます。
◇強皮症の経過と難病認定
びまん型全身性強皮症の場合、発症初期にレイノー現象が見られた後は、5~6年間の間に皮膚の硬化が進行して、肺と腎臓などの内臓に病変が現れます。次いで内臓に障害が出た後に皮膚の硬化が止まり、皮膚症状だけが自然に治っていきます。
限局型全身性強皮症では皮膚症状が起きない場合もあり、起きてもゆっくりと進行して内臓の病変もありません。びまん型と限局型は抗体の種類によって分類されるので、予後はある程度判断できます。
難病認定の基準としては、内臓の自己免疫疾患の重症度と人工呼吸器(気管切開または顔マスク)の使用の有無が関係してきます。限局型の皮膚症状だけであれば認定されません。公費負担になるため、生命の危険がない、または経過観察の場合は難病認定が行われないのが一般的です。(特定疾患としての受給者は年間5万人)
◇全身性強皮症の治療
治療を始める基準として、皮膚硬化が指先から肘、膝付近まで及んでいる。発症6年以内である。症状の進行が急速である。硬化性浮腫が主体である。という場合に限って治療が行われます。皮膚症状の進行が遅い場合は経過観察、または治療不適応となり無条件で治療対象になりません。
びまん型全身性強皮症の場合は、内臓障害が出る前(発症6年以内)に治療を始める必要があります。原因の特定が出来ていないため対症療法になり、ステロイドの投与や免疫抑制剤、血管拡張剤、肺血圧降下剤、皮膚の保湿と炎症に対してヘパリン類似物質、レイノー症状にはプロスタグランジン製剤による血管拡張などが使われます。

コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。