
フィッシャー症候群(FS)とは、ギランバレー症候群(GBS)の亜型とも一部とも言われて、1000万人に5人の割合で起きると言われる極めて稀に思える病気なので、全国の発症者は50人程度という計算になりますが、実際の患者数ははるかに多いようです。1~2週間で完治するとも言われていますが、実際の治療では平均的な治療期間が半年とリハビリが1年程度必要になります。 スポンサードリンク
◇発症者の把握ができない病気
「ものが二重に見えてふらつきがあるが、治るのが早い」という病気。というのが一般的な認識ですが、簡単に治るわけではありません。ギランバレーの症状が出た後にフィッシャー症候群を併発する事が多く、ギランバレーの一部という位置づけも間違っているようです。
感染症の後に末梢神経に対する自己免疫反応として、神経症状が起きて1~2週間程度でピークを迎えたあとは治癒に向かうという説明がやたらと多いですが、治る方が稀なケースかもしれません。後遺症が残ったり、場合によっては死亡することもあります。
おそらく、神経内科に2週間通ってその後眼科に通院すれば、神経内科では2週間で治癒という判断になるのかもしれません。追跡調査を行う訳もなく、感染症でもないので保健所に報告する義務もなく、誰も実数を把握していないはずです。
◇フィッシャー症候群の原因
「外眼筋麻痺・運動失調・腱反射消失」の3つが特徴でもあるフィッシャー症候群なので、専門科がなければ、眼科と神経内科、呼吸器内科を受診する必要があります。斜視や複視、運動障害があると受診だけでも大変なものです。歩けなければそのまま入院になります。
フィッシャー症候群の主症状としては、インフルエンザやカンピロバクター・ヒトヘルペスウィルスの感染症が先行して、その後にギランバレー症候群による神経症状が出るのが一般的ですが、フィッシャー症候群だけを発病する場合もあります。フィッシャー症候群だけの場合は突然パニックに陥るほどの症状で、動けない、複視でモノが見えないので、救急車を要請するのが大半です。
そして、ギランバレー症候群が治る治らないに関係なく、その後にフィッシャー症候群として眼球運動を行う際の外眼筋麻痺が起こり、眼球運動ができなくなります。運動失調は小脳が関係しているわけではなく、神経障害による感覚入力障害という説が有力ですが、中枢神経障害の可能性も残されています。
◇フィッシャー症候群に多い症状
最初の症状としては複視が多く、モノが二重三重に見えるという症状は高い確率で起こります。視神経が受ける自己免疫反応によるもので、人によって症状や軽症・重症の違いも出てきます。眼筋麻痺では見たい方向に眼球が動かないという事が起きます。斜視では両目が同時に動かなくなります。
他の眼の症状として、回転性めまいの時の症状でもある眼振が起きたり、視力低下なども割と頻度の高い症状です。
神経症状としては、ニューロンの障害によって運動神経に障害が出て、ふらつき、顔面神経麻痺や四肢のしびれ、味覚異常、四肢の筋力低下など、末梢神経の障害も多いようです。発症の発端となる感染症の程度が影響して、症状や治癒までの時間に個人差があると思われます。
◇フィッシャー症候群の治療
確立された治療方法はありませんが、末梢神経の賦活のためにビタミンB12の大量投与や、免疫グロブリンの大量投与によって進行を止めるという処置が行われて、半年程度で治癒に向かっていくと、その後はリハビリが行われて半年から1年で治る場合が多いですが、長引くと5年経過しても完全に治らないというケースもあります。

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