ミトコンドリア病(母系遺伝によるエネルギー代謝異常) 

byouin2

ミトコンドリアといえば、全身の細胞に存在してエネルギーの元になるATPを作り出す細胞ですが、その機能が低下することで、臓器によっては異なる症状を引き起こすため何が起きるか予測不可能な疾患もあります。原因は16,569の塩基対から成るミトコンドリアDNA(mtDNA)の変異と量的変化によるものがあります。

スポンサードリンク



◇ミトコンドリア病とは?

精子の尾に存在してATPの産生を行っていますが、受精の際に尾が切断されるので、父親のミトコンドリアDNAは受け継がれず、母親だけのmtDNAが受け継がれるため「母系遺伝」と言われています。偏頭痛の遺伝子はmtDNAに含まれているので、偏頭痛は母親からしか遺伝しないというのは有名な話です。

ヒトの細胞内には数百個近くのミトコンドリアの細胞が存在して、mtDNAが1,000個程度存在して、エネルギー合成や、活性酸素の発生、細胞のアポトーシス、カルシウムの貯蔵、感染からの防御などに関係しています。遺伝子の変異によってその機能を失うとミトコンドリア病を発症します。

核DNAの200の遺伝子とmtDNAの100の遺伝子の計300の遺伝子のいずれかの異常によってミトコンドリア病を発症することが分かっています。筋肉の遺伝子変異が80%で血液が1%なので、筋肉の遺伝子を調べるとミトコンドリア病が判明します。

◇ミトコンドリア病の診断

筋肉細胞の遺伝子を調べれば分かりますが、一般的な症状の場合ミトコンドリア病を疑って遺伝子検査は行われません。300の遺伝子のいずれか複数の異常があれば遺伝子異常が判明しやすくなります。

しかし、偏頭痛と糖尿病では受診科が異なるので判明しにくいものです。小児の筋力低下だけの場合は、ミトコンドリア病を疑うわけもないので原因判明にかなりの時間を要します。この場合、核DNAとmtDNAの検査は滅多に行われません。というわけで、ミトコンドリア病が見つかる確率は極めて少なく、実数の把握も困難です。日本に何人の患者がいるのか不明のままです。

◇ミトコンドリア病の特徴

基本的にエネルギー代謝異常による疾患が起きるのが特徴で、代表的な症状として、慢性進行性外眼筋麻痺、ミオクローヌスてんかん症候群(母系遺伝)、ミトコンドリア脳筋症(母系遺伝)などが判明しやすい症状で、筋肉の生検を行うと顕微鏡下で「赤色ぼろ繊維」と言われるミトコンドリアの集積が確認できます。治療は遺伝子治療ではなく、基本的に対症の臓器に合わせた対症療法になります。

ミトコンドリアの代謝に必要な補酵素としてビタミンB1、B2、ナイアシンなどの補給が行われています。ミトコンドリア病の治療薬として臨床試験が行われた治療薬としてはアルギニンに薬効があると証明されています。他にコエンザイムQ10などサプリが多く使われて、対症療法以外ではサプリである程度効果があるようです。

◇ミトコンドリア病の判定

ちなみにミトコンドリア病としての認定基準は、「外眼筋麻痺や進行性の筋力低下」、「知的退行などの中枢神経症状」、「心電動障害や、尿細管腎炎などの腎障害、中程度以上の肝障害、貧血、肝障害のいずれか1つ以上」

または、乳酸値、脳CT・MRIによる左右対称の病変などの画像検査、筋生検による病理検査、関連酵素や中間代謝物の欠乏、mtDNAの遺伝子変異、mtDNAの量的変化などによって判断されます。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
スポンサードリンク







関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

スポンサードリンク

お役に立てたらいいね!

ページ上部へ戻る