潰瘍性大腸炎の患者数の多さと、年齢分布、喫煙との関係の謎

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1973年に特定疾患に指定されて以来患者数は毎年増加する一方で、2014年の患者数は17万人に及んでいます。まだ臨床試験の段階とはいえ今年に入って糞便移植が盛んになり、原因不明で治療法のなかった潰瘍性大腸炎が原因不明のまま治る時代になりそうですが、なかなか日本人は慎重派のようです。

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◇潰瘍性大腸炎について

大腸の粘膜のうち、粘膜上皮に限定して炎症・びらん・潰瘍を起こすのが特徴で、腹痛や下痢、血便が主症状ですが、症状は改善したり消失、再発、悪化などを繰り返しながら、大腸癌を合併症として発病することもあります。潰瘍性大腸炎がない人と比較しても大腸癌になる確率は同じで、潰瘍性大腸炎の有無に関係なく同じ経過をたどります。

発症年齢としては男性では15才~24才が最も多く、女性は25才~29才がピークで加齢とともに次第に減少していきます。喫煙者の方が罹患する確率は少ないと言われています。
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家族内での発症者が多いことから遺伝も考えられましたが、遺伝子に関しては根拠らしい物は見つからず、食生活などの環境要因の方が大きいのではないかと言われています。

クローン病と潰瘍性大腸炎の違いは、クローン病では全ての消化管に炎症が起こる可能性があり、広範囲で重症度も高く、関節症状、皮膚の壊疽があるという違いもありますが、喫煙者に起こりやすいという妙な違いがあります。

◇潰瘍性大腸炎の原因と治療

原因不明と言われて解明されないまま40年ほど経過しています。自己免疫疾患の一面があるので、免疫抑制剤やステロイドが有効とされてきました。

現在では、食生活の変化による腸内細菌叢の影響が大きく、ウェルシュ菌やディフィシル菌などが発生する硫化水素の刺激が原因とも言われています。抗生物質を経口投与しても有用菌が減ってしまい、硫化水素を発生させる原因となる悪玉菌は芽胞の形で抗生物質に耐えて、逆に増えるということが起こります。

芽胞になると同時に毒素を出すため、抗生物質の経口投与や静脈注射によって死滅させることは難しいだけでなく、多剤耐性菌を生み出して毒素によって症状を悪化させる結果になっていました。

また、健康な人でも抗生物質の長期投与が原因で、クロストリジウム・ディフイシル感染症を発症します。特に患者数が日本の10倍、170万人に及ぶアメリカでは、糞便移植によって治癒することが判明したため、ディフィシル感染症で命を落とす患者が減ってきました。

●糞便移植の動画はこちらをクリック(微妙に衝撃的です)
http://www.abc.net.au/catalyst/stories/3269844.htm(英文の説明あり)

65%が医療施設で感染を起こして年間死亡者が3万人に及んでいましたがその大半が助かることに。治癒率までははっきりしていませんが、致死的な大腸炎も症状が出なくなってスッキリしているようです。

◇現在の日本での標準的な治療

重症の場合はステロイドの経口または直腸への投与が行われ、炎症を抑えて痛みを軽減させるために使う事があります。免疫抑制剤や血漿成分除去などはある程度の効果を示して、特にレミケード(Infliximab)は人によっては劇的に痛みを抑える事が出来ると言われています。内科的治療で効果が無ければ大腸の全摘出が行われます。

●潰瘍性大腸炎の医療受給者証および登録者証の交付件数の推移
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・特定医療費受給者症の申請が受理されると医療費の自己負担が軽減されます。
・医療後進国の日本では2年先の2017年まで受給者が増えると予想されます。

潰瘍性大腸炎でも抗生物質を使わずに、腸内細菌叢を健康な人のものと交換する事で治癒が望めるということになります。ともかく、原因が特定できないまま治療法が見つかったということになり、糞便移植の臨床試験が終わって普及が始まれば、2017年7月には特定疾患から大腸疾患が除外されるかもしれません。

現在のところ、潰瘍性大腸炎で糞便移植の臨床試験対象者は、ある大学病院で10例だけです。

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