
2015年9月の時点では東京都でRSウィルスの感染者が増加しています。全国的にも昨年の1.3倍に及ぶ4万人以上が発病しています。RSウィルスの感染症状は主に呼吸器に感染して、悪化すると下気道や細気管支炎を起こします。2歳までには100%が感染すると言われています。 スポンサードリンク
◇RSウィルスと感染症状について
生涯にわたって顕在感染を繰り返す可能性のある感染症で、外部からウィルスが入ってこない場合でも、体力や抵抗力の低下に伴って発症します。新生児でも生後数か月の間は母親由来の抗体を持っているにもかかわらず、上気道だけでなく下気道に炎症を起こして肺まで影響が及ぶことがあるので要注意です。乳幼児の肺炎の原因でもあり、細気管支炎になると呼吸器系の重篤な症状が出てきます。
RSウィルスは飛沫感染と接触感染があり、潜伏期間は4~6日で、その後鼻炎や鼻水、発熱など、上気道炎の症状が続き、38~39℃の発熱と咳が続きます。その後、稀に下気道に感染が及ぶことがあります。下気道に感染症状が出るとさらに高熱が続きます。気管支や肺の炎症に関しては、早めの画像診断と痰の培養検査が必要です。
肺炎や細気管支炎があると治癒までに時間がかかるので、出来るだけ早めの抗生物質の投与と症状を抑えるための処置が必要になります。従来は冬に多い感染症でしたが、近年では7月から感染者が増加することもあります。
◇重症化を予防するために
免疫不全や心肺に疾患があれば重症化する危険性が高まります。上気道から分泌物とともにウィルスが下がっていくと下気道に感染を起こして、細気管支炎、肺炎、無呼吸、急性脳症へと感染が拡大していく危険性があります。年間死亡者数は2ケタ程度と非常に少ないですが、抗生物質の投与で死亡を免れていると思われます。
診断は迅速診断キットにより、RSウィルスに対する抗原抗体の検出が可能になっています。下気道炎の症状を見逃すと肺炎に至るまではあっという間です。解熱剤で高熱が下がらない場合は気管支炎や肺炎があるとみて間違いありません。
◇重症化予防のためのキットと薬
現在では重症化防止のための薬(パリビスマブ製剤)があるので、その薬を使うかどうかという判断材料としてRSウィルス迅速検査キットを使うべきという医師と、入院するほど症状が悪化すれば入院した上で診断キットを使い、陽性であればバリビスマブ製剤を使うべき。という2種類の考え方に分かれています。
診断キットを使うべきかどうか問題になっているという、その背景にはキット乱用が原因になっているので、医師の判断に任せるしかないようですが、予防薬は外来でも保険適応なので念のためにもらっておく方が無難です。子供は病院が休みになると症状が酷くなるのが定番です。
診断キットに関しては以前は入院時に使うというのが厚生省の指針でしたが、現在は通院の場合も保険適応ということなので、診断キット使用をリクエストすれば使わない理由はないと思います。

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