モノ忘れは記憶力の低下ではありません。

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モノ忘れが始まる年齢は個人差が大きく、40代~60代の間では特に「記憶力が低下した」と自覚するようになります。特に物の名前を覚えられないという「記銘力の低下」が最初に出てくる症状ですが、実はちゃんと記憶しています。何かのきっかけで思い出す事は可能であって、想起力が低下しているだけです。

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◇記憶力と想起力の関係とは?

記憶力は20歳が最大だと言われていますが、ヒトの記憶容量はどれだけ人生経験を積んでも容量オーバーをすることはありません。レム睡眠で「不要なことは忘れる」ということを行わなくても、人生で経験したことや感じたことを全て記憶することは可能です。レム睡眠の時に不要な記憶を思い出せないようにすることで、必要な事を思い出しやすくなるという効果はありますが、決して忘れているわけではありません。

想起力は思い出す能力で、記憶力とは直接の関係はありません。「思い出せなくなったから記憶力が悪くなった」ということをよく聞きますが、単なる想起力の低下だと考える方が正しいです。何気なく覚えていることでも、何かのきっかけで記憶の表面に出てくるのはよくあります。夢の中で過去の場面が出てくることもあります。それらのきっかけで時系列に記憶されたことを次々と思い出すものです。

記憶力の低下で認知症を連想する人がいるかもしれません。過去の会話や出来事、人の名前などを全く思い出せなくても、何らかのヒントやきっかけで思い出す事ができれば認知症とは関係ありません。一連の出来事の一部を忘れているという程度であれば想起力の低下と考えましょう。

記憶していても、短期記憶と長期記憶の収納場所を間違えると、検索に時間がかかります。新しい記憶は「海馬」という脳の一部に一時的に記録されます。同じ記憶が何度も頭に入ってくると、側頭葉を含めた大脳皮質で長期記憶として保存されます。

思い出すという能力は、出来事を記憶した場所から読み出すことなので、古い記憶であれば検索機能の低下といえますが、新しい記憶が思い出せない場合は、海馬の一時的な記憶を行うワーキングメモリーの低下が考えられます。

実際に年齢と記憶力ははっきりした違いはありません。60歳を過ぎれば想起力が落ちる人が多いという程度で、10代と80代を比較してもワーキングメモリの変化がない人も存在します。

年齢に関係なく、頭の疲れが溜まっていたりストレスを感じている時、うつ病や甲状腺機能低下症、その他の脳血管疾患などで脳の血流が減っている時は、脳全体の機能低下とともに記憶力も想起力も低下します。

◇想起力とイメージ記憶

側頭葉てんかんは割と健康な人でも稀に起きるものですが、その時に記憶したことは現実に起きたことなのかどうか曖昧な記憶になり、デジャヴとか既視感と呼ばれる現象の原因になります。現実感の喪失にも関係する側頭葉であって、忘れたいイヤな出来事は側頭葉で曖昧なまま長期記憶として残ります。

もし、忘れたい出来事があるとして、忘れたいと思って努力しても忘れることはできません。忘れようとすること自体、一度記憶から取り出しているので、脳内で情報伝達のネットワークが形成されていきます。そして聴覚や嗅覚、視覚などに関連付けて記憶した場合、思い出すためのきっかけが増えます。

五感の何かに関連付けた記憶(イメージ記憶)は簡単に忘れる事ができないもので、記憶術としては効率的です。逆に視覚などと関連付けてトラウマやパニック障害、広場恐怖症の原因になると、その場所で発作が起きやすくなります。

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