インフルエンザ・ワクチン接種後の急性散在性脳脊髄炎(AEDM)

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ワクチンを接種した後、8週間以内(主に1~3週間)の間に急性散在性脊髄炎(AEDM)を起こすことがあります。小脳に障害が残ることで、ウィルス感染後の脳炎と症状が似ています。治療の際に区別する必要が出てくるために多くの検査が行われます。

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◇接種後ADEMの原因

ワクチンによる抗原抗体反応の際に免疫力が異常に高まることがあります。それが原因としてアレルギー反応の一種、自己免疫反応として骨髄の炎症や損傷が起こります。初期症状として髄膜刺激による頭痛、嘔吐、発熱、項部硬直(頭部を前屈させても顎が胸につかない)などがあり、次第に悪化する一方でなので、早期の治療開始によって治癒します。

ワクチン接種後AEDMを起こすものはインフルエンザの他に日本脳炎ワクチンとB型肝炎ワクチンが代表的です。発症頻度はわずかですが、ほとんどのワクチンで自己免疫反応が起こる危険性があります。

◇急性散在性髄膜炎の検査

極端な例では麻疹のワクチン接種の後に症状が出れば10~20%が死亡します。または重症化して後遺症が残る事もあります。この場合、受診の遅れや医師がAEDMと気付くのが遅れるほど重症化します。

問診では主にワクチン接種の有無と時期によって見当がつきます。画像診断では脳と脊髄MRIが行われます。血液検査や髄液検査などによりある程度の診断ができます。急性ウィルス性脳炎との判別が難しいケースが多いため、多くの検査が行われることになります。

◇急性散在性髄膜炎の治療

最初は整形外科や脳神経外科を受診するかもしれませんが、脳脊髄炎の可能性があれば小児科、成人は神経内科を受診すべきです。

治療方法として、ステロイドパルス療法や抗ウィルス剤、免疫抑制剤などがありますが、一般的に自己免疫疾患にはステロイドパルス療法として短期間に大量のステロイドを投与する方が有効だとされています。

ワクチン接種後は症状が再燃することがないので、免疫抑制剤よりもステロイドが有効になります。効果がなければ免疫グロブリンの大量療法、血漿交換が行われる事もあります。

◇急性散在性髄膜炎の進行

脊髄損傷により損傷を受けた部分に運動障害と感覚障害があり、膀胱直腸障害が起こります。胸部脊髄では排尿障害、排便障害が起きます。頸部の脊髄に損傷があると四肢麻痺と感覚異常が現れます。

炎症で治まらずに損傷まで進むと危険な急性症状です。胸髄の損傷が最も多く両足の麻痺が生じやすくなりますが、小脳の損傷初期では足だけでなく、眼振とめまい、四肢の麻痺、感覚異常、歩きにくさが出てきます。

◇ウィルスの予防接種と副反応

保険適応の範囲では有効な薬剤はありません。ステロイドのパルス療法に効果が見られることもあります。ウィルス性脳炎か急性散在性脳脊髄炎の区別がつかない場合は、アシクロビルという抗ウィルス剤を静注することもありますが、有効であるという保証はありません。

厚生労働省が定めた手順通りに注射液を製造していれば、副反応については製薬会社の責任にはなりません。国を相手に訴訟を起こす、または難病申請を行って治療費を出してもらうしかないのが現状です。

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