アルツハイマーは真菌感染が原因?というオカルト的なニュース 

otosiyori

アルツハイマーで死亡した患者の脳組織を調べたところ、真菌細胞と真菌菌糸が見つかったということで、真菌感染がアルツハイマーの原因かもしれない、というNature発AFP通信のニュースがあります。しかし本当に真菌の感染症が原因であれば、今までの治療薬も治療法も原因も全て間違いということになります。

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◇アルツハイマー症の原因の変遷

極端な記憶力の異常があるアルツハイマー症予備軍は、30年以上の追跡結果により将来的にアルツハイマー症を発症して生存年数が短くなることが分かっています。

発症の原因となる物質に関しては、最初に考えられていた説としてアルミニウムが脳のニューロンに絡まることが原因というものです。

影響のあったニューロン付近の脳細胞が委縮して、次第に記憶の処理を行う海馬に広がります。やがてニューロンの死滅とともに脳実質全体が委縮します。記憶力や認知能力が障害されるということが、長期間にわたって進行していきます。この期間はヒトによって異なりますが、免疫力が低下すると進行度も早くなります。

次に原因として考えられたものが、アセチルコリン値の低下とセロトニン値の上昇によるものですが、この説は有力で、それに対する治療薬はある程度の効果が見られます。

◇真菌犯人説を否定する

相変わらず原因は不明ですが、真菌犯人説が出てきたようで、原因の一部として考えられるという程度に捉えるのが無難かもしれません。生きているアルツハイマー患者の脳の生検(針を刺して組織を採取すること)は事実上不可能です。

アルツハイマーを発症すると生存期間が短くなり、死亡後に解剖して脳を調べた結果として患者特有の何かが見つかったという程度に過ぎません。ニューロンに絡んで記憶力や認知力に関係すると思われる物質がアルミニウムであったり、アミロイドやタウタンパク、真菌細胞や菌糸の痕跡などが見つかっても不思議ではありません。

病変部分に何か見つかると犯人扱いされますが、やはりこれも免疫力低下による真菌感染という結果であって、アルツハイマーの原因ではなく、アルツハイマーによる免疫力低下の結果として感染が起きたと考える方が自然です。

◇真菌が脳に感染する?

表皮にはマラセチア真菌や白癬菌、カンジダ真菌、アスぺルギルス真菌などが主なものですが、マラセチア真菌は主に頭皮で繁殖してフケの原因になったり、毛根で繁殖するものです。カンジダ真菌もアスペルギウス真菌も皮膚表面に感染するもので、白癬菌は足の裏に出来やすい水虫の原因です。

ほとんどの真菌はヒトの表皮で繁殖するものですが、乾燥したときに胞子を出して繁殖するため、肺胞に入ることがあります。これが免疫力低下によって血液中に入り込むと、他の臓器に感染することもあり、髄膜炎や脳腫瘍の原因として考えられる可能性はあります。

ムコール症はケカビ目の真菌(パンに出来るカビ)によって最終的に脳に感染を起こしてけいれんや意識障害を起こすものです。脳に感染する以前に抗真菌薬による治療が行われますが、真菌を取り除かない限り進行は止められないという感染症も存在します。

いずれにしても高齢者や免疫力の低下した患者に起こるもので、真菌感染症がアルツハイマーの原因か結果のどちらかを判定することは難しいものです。

◇原因特定できない疾患の治療薬

原因が特定できないため、治療薬はアセチルコリン分解酵素のコリンエステラーゼ阻害剤(アリセプト)など4種類の治療薬によって、アルツハイマー型認知症の症状悪化を防止することができる場合もありますが、症状によって複数の組み合わせを使用するのが一般的です。

また、医薬品の相互作用で有名なMAO阻害剤はうつ病の治療薬として使われていましたが、現在ではアルツハイマー症が唯一の適応症の薬になっています。

アルツハイマーの患者に抗真菌薬が使われることは考えられず、真菌感染の早期発見が難しいので、真菌に感染しているのか、薬の効果があったのか?ということも死亡しないと検証できません。

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