日本人の飲酒による食道がんのリスクと、新しい治療法

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先進国に多いと言われている食道がんは特に日本に多く、男女比では男性の方が6倍ほど多くなっています。原因としては長年にわたって食道が刺激された結果発がんしやすくなるため、50歳以上になれば食道がんのリスクが増えてきます。食生活もある程度関係して、飲酒や刺激物の他に喫煙も原因になります。

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◇食道がんの原因と危険因子

食道は喉から胃の直前までの20~25センチの器官で、表層の粘膜上皮に刺激を受けて癌が出来やすくなります。日本人の食道がんの90%を占めるのが上皮がんであり、粘膜上皮の細胞分裂が早いのが原因になり、細胞のがん化が起きると自然治癒力による修復よりがん細胞の分裂の方が早いのでがん組織が広がっていきます。

原因としては喫煙や刺激物も関係してきますが、主にアルコール摂取量が影響します。アルコール分解酵素の少ない日本人は食道がんになりやすい体質を持っています。

◇人種で異なる食道がんの原因

アルコールが分解されるとアセトアルデヒドという毒性の強いものに代謝されます。次にアセトアルデヒド分解酵素としてのアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)によって酢酸と水に分解されますが、酵素の活性が遺伝的に弱い日本人は、発がん物質でもあるアセトアルデヒドが体内に長時間残りやすく、ALDH2によって分解されるまで体内に蓄積されるので、結果的に食道や下咽頭に悪影響を及ぼすことになります。アルコールと喫煙によって発がん率が上昇します。

日本人の90%はアルコール摂取が原因になり粘膜上皮がんを起こすのに対して、欧米人の90%は胃食道逆流症(GERD)が原因で食道がんを引き起こします。胃食道逆流症では食道下部に炎症が起きて発がんしますが、日本人は食道上部が発がんしやすいので咽頭がんを併発しやすくなっています。また、日本人でも胃食道逆流症が食道がんの原因になります。

◇食道がんの初期症状と検査

嗄声(かすれ声)や空咳、胸部背中側の疼痛、胃酸の逆流による胸焼け、食道炎、嚥下困難などの自覚症状がある場合、早めの受診によって早期発見が可能になる事があります。急速に癌が広がるため、早期発見の場合は治癒率が高くなります。

検査としては胸部X線や、食道鏡を使い肉眼で食道を観察します。食道の粘膜組織を採取(生検)した後に病理検査が行われて、がん細胞の有無やがんの兆候、組織サンプルの観察により前がんの時点で発見する事が可能になっています。

◇食道がんの治療と生存率

女性の罹患率は1960年代から横ばいですが、死亡率は1970年代から徐々に減少しています。男性の罹患率は緩やかに増加しており、死亡率は減少しています。

現在では免疫力を高めてがん細胞を消失させるという、免疫チェックポイント阻害剤「PD-1抗体ニボルマブ」によってがん細胞が免疫細胞の機能を抑制する能力を無くすというもので、従来の免疫療法とは異なる新しい機序で癌細胞を減少させるということを行います。メラノーマが最初の適応症でしたが、ほとんどのがんに効果があり、化学療法に効果の無かった食道がん患者に対して17%以上の効果を示しています。治療歴があっても有効とのこと。

未だに保険適応にならない陽子線治療では手術適応外や手術拒否例の、StageⅠ~Ⅲと、StageⅣが治療対象であり、術後の再発も治療対象になります。手術適応にならなかった食道がんでも3年生存率は55%で、StageⅠでは90%が治癒します。また、手術を行うと声帯等の機能を失う場合が多いですが、陽子線治療では発がん部分以外の正常な細胞に影響を与えないので、予後やQOLはよくなります。

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