
全身に狼瘡のような紅斑が出ることからこの病名がつけられています。全身性の自己免疫疾患であって影響を受ける臓器は限定されていないものの、患者によって異なる症状が出るというものです。再燃を繰り返す自己免疫性疾患でサルコイドーシスに似ている部分もあるようです。 スポンサードリンク
◇全身性エリテマトーデスとは
全国に61,000人~120,000人の患者がいる難病指定の疾患で、全身の皮膚の紅斑や全身の内臓や関節、筋肉に炎症性の損傷を与える自己免疫疾患です。炎症から発熱や全身の倦怠感など、ほとんどの患者が抗核抗体を持っていて、抗原抗体反応を起こしますが、細胞核と結合すると免疫複合体というものが出来て、それが全身の器官と臓器に沈着して起きる病気と考えられています。
SLEの発症を起こす患者として、80%前後は10代~30代の女性であり、アジア人に多くなっています。
免疫系のリンパ球が直接攻撃する自己免疫反応も一部にあり、ダイレクトに臓器や皮膚が損傷を受ける事もあります。全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus)全身性紅斑性狼瘡などと訳されて、外見上は免疫複合体による炎症性紅斑が目立つものですが、その他全身性の炎症性疾患であるため、微熱や倦怠感が続きます。
◇SLEの原因と症状など
自己免疫疾患の原因としては、50種類以上の遺伝子異常が関わっているとされて、人によって症状が異なり、障害を受ける臓器や皮膚、関節、筋肉、頭髪など、影響を受ける部分は異なりますが、そののちに血管に影響が出てきます。ほとんど症状が出ない人もいれば、悪化したり治ったりする人もいます。発病は遺伝的素因に加えて、紫外線などの外因的な刺激によって発病することもあります。
最も特徴的な症状では、顔の皮膚に出る紅斑で、頬と鼻などの副鼻腔の上が赤くなることがあります。蝶のようにも見える形から蝶型紅斑と呼ばれています。日光に対して皮膚が過敏であり、紫外線に当たった時に赤い発疹や水ぶくれなどが出る日光過敏症が起きやすいのも特徴です。また、毛髪が弱くなり途中で折れるなど痛みやすく、突然の脱毛を起こす事もあるので然るべき時点で治療を行う必要があります。
◇SLEの診断と治療
薬剤誘発性の場合は薬をやめれば治ります。症状のない期間もあり、外的要因によって再燃を起こしたり治ったりという事を繰り返すので、難病指定を受けられる患者は半数程度といわれ、申請しない者を含めると治療中の患者の2倍程度は潜在的に疾患を持っていると予想できます。
また、更年期になると女性ホルモンの低下が関係して、免疫力の低下とともに治る場合もあります。治療では主にステロイドを使用する事で炎症を抑えながら、長期間にわたって合併症が増えないように症状をコントロールしていく必要があります。症状と程度によって、エンドキサンやセルセプトなどの免疫抑制剤が使われたり、ステロイドパルス療法を併用して治療が行われることもあります。
病気が進行すると治癒は期待出来ませんが、症状に合わせて正確にコントロールしていけば命に関わることはありません。

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