
絨毛とは胎盤の外部にあり、胎盤の形成に関わっている臓器です。子宮にできるがんの中でも最も悪性度が高く全身に転移しやすく放置すれば1年以内に死亡します。悪性度が高いとはいえ、抗がん剤によって治癒が期待できますが、妊娠中に起きるため、初期症状を見つけにくく本人も気付くことが難しい病気です。 スポンサードリンク
◇絨毛ガンの原因と症状
絨毛ガンは妊娠直後に起きやすいもので、子宮内の胎児と母体をつないでいる絨毛が異常に増殖すると絨毛ガンになります。妊娠後に異常があり、胞状奇胎という水泡に胎児が吸収される絨毛性疾患があると、それに次いで起きるものです。
絨毛は血管が多く、遺伝子異常による胞状奇胎や流産などの後に大量の不正出血や長引く出血があれば、絨毛ガンの可能性があります。
他の臓器に転移しやすいので、最も多い転移先である肺に転移すると血痰や胸痛、呼吸困難、咳などの症状が出ます。脳に転移すると脳圧の上昇によって頭痛や嘔吐、片麻痺、痙攣、意識障害など致死的な症状が出てきます。
腎臓に転移すると血尿が出るなど症状がはっきりしている場合でも、最初から絨毛ガンが疑われることは稀です。脳圧の上昇によって嘔吐を繰り返す場合は脳神経外科で検査を行い、腎臓に異常があれば循環器科、血尿があれば泌尿器科の検査などにより、検査結果を総合した結果、絨毛ガンと確定診断が下ることになります。
絨毛がんは子宮にできるとは限らず、卵巣や男性の精嚢などの生殖細胞から絨毛がんが増殖していることがあります。
◇絨毛がんの治療
絨毛がんは抗がん剤の効果が高く、早期発見ができれば治りやすい病気です。しかし、肺や脳に転移している場合、原発元の絨毛がんが消えていることがあるので、原因不明の疾患になると転移先の臓器に対して個別に治療を行っていきます。
肺がんに対しては多くの治療法がありますが、抗がん剤による化学療法が効果的という話もありますが、現在では化学療法ではなく、分子標的薬より効率的な免疫チェックポイント阻害剤を使えば肺がんでも治ります。
◇症状別のがん治療
進行腎臓細胞がんも同様に免疫チェックポイント阻害剤(ニボルマブ)の投与によって25%が奏功を12か月持続して、44%は長期投与により奏功を維持しています。31%は12か月間、奏功を持続したという研究結果が発表されています。
治療が難しい腎臓がんだけに以前はインターフェロンやインターロイキンが使われていました。がん細胞だけでなく正常な細胞の分裂も止めてしまい、毛髪の細胞分裂も止めるため、抗がん剤で髪が抜けるということも起きます。これは抗がん剤の副作用ではなく、作用の一つです。
しかし、免疫チェックポイント阻害剤であれば、正常な細胞に影響を与えることもなく、がん細胞だけに特異的に攻撃するというものです。
かくして、絨毛がんの元疾患はどこかに消えてしまい、転移した部分だけを治せばいいということになります。その後に子宮の摘出が行われて胞状奇胎の処置により、転移がない場合の5年生存率は90%となり、転移があっても新薬の登場によって治る可能性も出てきました。

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