
アスピリン喘息とはNSAID(非ステロイド性消炎鎮痛剤)による急激な喘息発作のことで、市販されているNSAIDにはボルタレン、ロキソニン、イブプロフェン、アスピリンなどの消炎作用のある鎮痛剤が原因で起きる喘息はアスピリン喘息と言われます。医療過誤の犠牲者にならないように喘息があれば問診票などに自己申告が必要です。 スポンサードリンク
◇アスピリン喘息の原因と症状
原因として多く見られるのが、副鼻腔炎や喘息の持病がある場合にNSAIDを服用するとアスピリン喘息を起こしやすくなります。NSAIDの服用後はロイコトリエンという気管支アレルギーを起こす物質により、主に1時間以内に急性のアレルギー反応として、重度の場合はアナフィラキシーショックを起こします。
症状は食物アレルギー反応によるアナフィラキシーと同じで、食後や服用後に一定の時間をおいて急激なアナフィラキシーショックを起こします。鼻水や鼻づまりと急激な喘息発作があればアスピリン喘息発作の可能性が高いので、咽頭の粘膜が浮腫を起こすと気道が狭くなり呼吸困難に陥り、処置が間に合わない場合は死亡します。
◇紛らわしいだけの「アスピリン」
アスピリン喘息は、NSAID不耐症やNSAID過敏症と呼ばれて、全てのNSAIDに分類される非ステロイド性消炎鎮痛剤でアレルギー反応を起こします。そのため、アスピリン喘息という病名は紛らわしく、アスピリン以外は症状が軽そうなイメージを与えそうな感じです。
そもそもアスピリンに消炎作用はほとんどないので、日本では消炎鎮痛剤として売られていないはずです。病院でも胃に優しくないアスピリンを処方されることはほとんどありません。
アスピリンの適応症としては、脳梗塞などの血栓予防として小児の1日量より少ない1日25mg~50mg程度が処方されます。飲み過ぎると脳出血が止まらないという事も考えられるので、小児用バファリンを薬局で買って脳梗塞を予防しているつもりでも、「小児用バファリンにアスピリンは含まれていなかった」という悲劇もあります。
現在、医療機関で一般的に使われているNSAIDはロキソニンなので、ロキソニンによるアスピリン喘息(NSAID不耐症)が原因で喘息発作による窒息が医療事故としては多いものです。気管支喘息の持病がある場合もロキソニンやボルタレンの服用により、1時間程度で気管支喘息の悪化により気道が狭窄を起こして窒息死に至ります。
◇医療過誤を避けるための自己申告
医師でも「アスピリン喘息だからロキソニンやボルタレンなら大丈夫」と思い込んで処方した結果、窒息を起こした死亡例が過去に何例もあります。ボルタレンの座薬の場合は即効性があるので、喘息発作も急激で重くなります。
喘息の持病やNSAID過敏症がある場合、炎症と痛みに対してはステロイドとアセトアミノフェンなどの鎮痛剤を使うのが一般的です。歯科で治療を受けるときも喘息があればあらかじめ伝えておくべきです。初診の際の問診票に「気管支喘息」または「NSAID不耐症」と書き忘れることがないようにしましょう。
歯科医は特に処方する薬も限定されているので、薬の知識はないと考えておく方が無難です。もし医療過誤の被害者になった時に、カルテに「喘息の既往症あり」と記載されていなければ、気管支喘息の悪化による窒息があったとしても医師の責任が証明されない可能性があります。

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