
皮下気腫とは、胸部外傷や外科手術、歯科治療などが原因で皮下組織に空気が入ってしまうことで、気道から肺にかけて起こることが大半ですが、首や顔、腹部が膨らむこともあります。見た目にもわかりやすいものですが、内圧による痛みが出ます。縦隔気腫は左右の肺の間にある縦隔内に空気が入り、肺胞の破裂の危険を伴うものです。 スポンサードリンク
◇皮下気腫の原因と症状
皮下組織に空気が入ってできた腫瘤が皮下気腫と言われるもので、頸部や胸部に痛みがあり呼吸困難を起こします。空気が皮下に入る原因としては、胸部外傷、異物誤飲による食道損傷、副鼻腔炎による上気道炎、肺炎、気管支喘息などがあります。
一例として、歯科治療で抜歯の時や、レーザーやメスの使用により切開した部分から皮下組織に空気が入り込むと、顔が膨れることがあり痛みを伴います。皮下気腫ができると気腫自体の痛みはありませんが、膨らみが大きいと、内側から神経が圧迫されることによって激痛が起きることもあります。
特に歯科では歯茎の切開や抜歯後に圧搾空気をかけるので、皮下組織に空気が入りやすくなります。上顎の気腫であれば外見の変化が大きいので、動揺は大きなものですが特に問題はありません。
下顎の気腫は呼吸器の周りを圧迫することがあるので、治療中に呼吸が苦しくなります。下顎が腫れた時はすぐに然るべき医療機関で検査を受けたのちに、経過観察を行うのが無難です。ともかく腫れと呼吸状態の悪化があれば危険信号です。
◇皮下気腫の受診の判断
患部を押すと、雪を握った時のような音が聞こえるので皮下気腫と判ります。痛みが少なければ、自分で皮下組織に溜まった空気を少しずつ抜いていくことで痛みが治まっていきます。
軽い気腫の場合は自然に空気が血管に吸収されるので、二次感染防止のために抗生物質を服用する方が無難ですが、必ずしも治療を受ける必要はありません。無治療でも自然に治る場合もあれば、入院治療が必要になることもあります。
頸部の食道や気道に皮下気腫があれば、頸部が腫れて呼吸困難の原因になります。また喘息などの原因となる疾患があれば、後に原疾患も治療する必要があります。痛みが酷くなったり呼吸が苦しくなるなど、呼吸器の症状が悪化するようであれば呼吸器外科を受診すべきですが、症状次第では救急車の要請が必要になります。
◇縦隔気腫(皮下気腫)の検査と治療
縦隔気腫とは左右の肺の間の部分に出来る皮下気腫のことで、胸部打撲や外傷、肋骨や胸骨骨折などが原因で起こります。症状は気道の皮下気腫と同じ呼吸障害があり、入院治療を要する重症例が多くなっています。
検査としては画像診断、動脈血の酸素分圧(酸素飽和度)と静脈血の二酸化炭素分圧、スパイロメトリー、運動負荷試験などが行われて、ほぼ確定診断となります。
原因と症状次第で処置は異なります。咳止めや鎮痛剤によって症状を抑えながら、CTスキャンで皮下気腫の状態を確認しながら経過観察を行うと自然に気腫は無くなります。特に治療は必要としません。その後に縦隔気腫の原因となる疾患を治療します。
最も気を付ける点として、「呼吸状態の悪化・腫れや痛みの悪化」があればすぐに医療機関を受診すべきです。いつまでも放っておくと呼吸困難で亡くなる事もあります。

コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。