救急車内での治療の限界 ~救急救命士と医療行為~

kyousin

2009年になって救急救命士がエピペンを打つことが可能になりました。エピペンとはアナフィラキシーショックに陥った時にエピネフリンの自己注射が行えるもので、呼吸困難の改善、心拍数・血圧を上げる事が短時間で可能になるものです。

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◇エピペンの代理注射と優先順位

小児科などで処方されたエピペンはアレルギー専用の応急処置用に使うもので、基本的に本人が携帯して本人が使用するものです。本人が使うタイミングを逃してショック症状が出た場合は、他の誰かが代わりに打つことになります。

注射できる者には優先順位があり、最初は「本人」ですが、次に「両親、学校関係者」、そして最後に「救急救命士」の順になっています。アナフィラキシーショックによる喉頭浮腫が起きると呼吸困難に陥り、本人が打てるとは限らないため責任問題が起きやすいのが現状です。

◇代理注射の責任問題

学校関係者が何もできず子供を死なせてしまったという事件は有名なもので、代理医療行為は必ず責任問題を伴います。本人である子供が「大丈夫」といえば学校職員は何もできないというジレンマもありますが、常に医療は結果論であり、責任問題でもめることになります。

仮に本人が「大丈夫です」と言ったとしても、アナフィラキシーショックの症状があれば、エピペンを打たなかった者の責任になるのが代理注射の面倒なところです。

仮に救急救命士がその場にいて代理注射を頼んだ場合でも、家族、学校関係者、保育者などが優先するので、救急救命士は打たない場合があります。

◇救急車が到着するまでの対応

救急車を要請した場合は、救急救命士が長い手順を踏んで容態をチェックした後にエピペンを打つ場合があります。

例えば、親や学校関係者から救急車の要請があった場合、救急救命士は本人の現在の状況だけでなく、その子供に本当にアレルギーがあるかどうか、かかりつけの病院はどこなのか、エピペンは本人に対して処方されているのか、現在手元にあるのかどうか?などの質問をします。

◇エピペンの代理注射が決定!

急を要する事態であっても、優先順位が上の者に聞き取りを行って「親、学校関係者」が注射をできない、または打ち方を知らないということを確認します。

さらにメディカルコントロールに常在している医師に、患者の症状を伝えてエピペン使用の判断を行ってもらい、打つ方がいいと言われると、やっと救命救急士がエピペンを打つことになります。

最後に、使用期限を確認して、膝の上を消毒した後に筋肉注射を行います。

◇救急車内で行われること

注射の効果は長くて15分程度なので、どちらにしても病院に運ぶ必要があります。アレルギー反応のアナフィラキシーショックは再発の危険があるので入院して経過観察になります。

しかし、緊急用の自己注射でも1回で効果が出ないこともあり、追加の注射が必要になる場合があります。救急車内ではアレルギー反応が明らかで、アナフィラキシーショックに陥って喉頭浮腫による呼吸困難を起こしている場合でも、死が目前でもエピネフリンは使えません。酸素バッグを使うだけです。

◇患者が死んだら使えるエピネフリン

救急車内にエピネフリンの入った注射器がありますが、アレルギー疾患には使えません。患者が心肺停止に至った場合は医師に確認して使えるという、死んでいる者にエピネフリンを注射するということが行われています。

これは、海外で笑いものにされている日本の医療の一面です。もし、ハチに刺されてアナフィラキシーショックを起こすと、早い場合では15分ほどで心肺停止になりますが、ショック状態に最も効果のあるエピネフリンを打つことは法律上できません。

現在の薬事法では「心肺停止すれば打っても良い」ということになっています。

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