鼠径ヘルニア ~早めの腹腔鏡手術を~

koshi

国内の患者数が15万人とも言われる鼠径ヘルニアは、妊娠や加齢、肥満気味の人など、ヘルニアになりやすい人があります。鼠径部の膨らみだけで他に症状がない場合は放置しがちな疾患ですが、急に痛みが出ると緊急手術になることがあります。高度な腹腔鏡による手術なので、早めの執刀医の選択が必要になります。

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◇鼠径部とヘルニアについて

鼠径部は腹部の最も下の部分で、足の付け根でもある部分(女性のパンツのゴムのあたり)です。ヘルニアは臓器や臓器の一部が、本来あるべき場所からずれている、またははみ出しているということであり、鼠径部に出来るヘルニアとしては、腸が押し出されて出来る「外鼠径ヘルニア」が多く、脱腸とも言われます。

脱腸というと、腸が肛門から押し出されてくると思いがちですが、鼠径部の外側に出てくる「外鼠径ヘルニア」が80%で、残りは男性に多い内側の鼠径部に出来る「内鼠径ヘルニア」、女性に多い鼠径部下の太もも辺りに腸が下がる「大腿ヘルニア」などがあります。大きい場合では鶏卵大のふくらみが出来ます。

発症年齢では、鼠径部ヘルニアは子供に多いと言われていましたが、成人の方が圧倒的に多く、加齢とともにヘルニアを発症することが増えていきます。

◇鼠径ヘルニアの原因

ところで、鼠径部ヘルニアの原因になる肝心の腹膜の位置はわかりにくいものです。臓器は半透明の膜に覆われており、肺は胸膜、心臓は心膜によって他の臓器と隔てられています。さらにその下に横隔膜があり、その下にある肝臓や胃、腸などの臓器を覆って支えているものが腹膜です。

内臓を包んでいる最も下の膜が腹膜なので、立っている状態で腹部を切開すると、肝臓から下の臓器が落下するほど重量がかかっています。肝臓から腸までの重さがかかっている腹膜なので、筋力低下によって腹膜が下がると、最も下に位置している臓器の腸が押し下げられます。

妊婦や肥満の場合は腹膜に重力がのしかかっているので、鼠径ヘルニアができやすい状態です。その腹膜に負担をかけるような動作が特に危険です。腹部に力が入るような力仕事や便秘がちな人、腹部を圧迫してしまう喘息や咳が多い人、前立腺肥大などが鼠径ヘルニアになりやすいと言われています。

◇鼠径ヘルニアの症状と治療

腸の一部が腹膜を押し下げると皮膚の薄い鼠径部から腸が押し出されて、触ると皮膚下に腸の膨らみを感じるようになります。押すと元に戻りますが、肥満などの生活習慣病や腹部に力を入れることが多い場合は悪化しやすいので、経過観察を行っても治ることはほとんどありません。

小さな膨らみでも診察や検査は必要で、いずれ手術をすることになります。膨れている部分を押しても戻らなくなったり激痛があれば、命に係わることがあります。

微妙に恥ずかしい部分なので、症状が軽い初期に医療機関を受診する人は少ないようですが、症状が悪化したのちに慌てて外科を受診しても腹腔鏡手術が出来る認定医が見つかるとは限りません。

腹腔鏡手術は30分程度で終わるので日帰りができますが、医師の経験次第では開腹手術になり、入院期間が長くなります。

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