先天性股関節脱臼の診断と早期発見

byouin2

先天的股関節脱臼とは、小児整形外科や整形外科で最も多い疾患で、主に出生時に股関節が脱臼するという頻度の多いものです。軽症では成人するまで気付かないこともありますが、最近の乳児検診では欠かせないチェック項目になっています。特に女児に多く、男児の約8倍を占めています。

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◇ 先天性股関節脱臼の原因と症状

症状は病名の通り股関節の脱臼により、足の長さや仰向けになったときの膝の高さや動きが左右対称かどうかを確認します。脱臼による痛みはないので、治療可能な初期にはっきりした症状がないのが特徴です。定期検診を受けない限り、四つん這いで足の運動を始めるまで自覚症状は少なく、周りから見て分かるとは限りません。

原因は先天的であるとは限らず、出生時に脱臼が起こることもあり、オムツや抱き方が原因で脱臼や亜脱臼を起こすことがあります。

原因は発症時期によって異なるものが考えられますが、生後7か月ほど経過して股関節が形成されて固定されると硬くなってしまうので、その前の股関節が柔らかい間に治療を行う必要があります。

◇ 先天性股関節脱臼の画像診断

乳児検診では必ずチェックされる項目の一つに「先天性股関節脱臼」の検査があり、主にエコー検査によって判明します。しかし、見落としが多く早期発見が必要な症状なので、数をこなしている熟練した検査技師や医師によるエコー検査の方が安心して何度も受けることができます。

地方の設備の整っていない小児科や、X線検査やエコー検査が可能でも画像診断が出来ない(結果を読めない)医師がいないとは限りません。出生時に異常がない場合でも、乳幼児期にかけて頻度の多い疾患なので、治療が可能な間に発見することは欠かせません。

股関節脱臼の検査でX線を使う場合、リスクとベネフィット(有用性)のどちらが大きいか?という問題になると、乳幼児の場合は放射性感受性が成人の3倍以上になるので微妙なケースもあります。

◇ 乳幼児に与える放射線の影響

一般的に生後3か月を過ぎると単純X線撮影の診断的価値が高くなると言われています。3か月未満ではMRIによる骨頭の画像診断が有力です。CTによるX線被爆は問題外なので、断固拒否すべきです。

股関節のX線単純撮影では生殖器にプロテクターが欠かせないのはもちろんですが、忘れる医師も稀にいますので、患者側が注意する必要もあります。

女児に多い疾患であるため、放射線は卵巣に与える影響といずれ白血病を発症するリスクがあります。股関節脱臼の症状次第ではリスクの方が高い場合もあるので、信頼できる医師の判断に任せましょう。

◇ 先天性股関節脱臼の治療

主に装具が使われて2週間の整復が行われます。効果が見られない場合は中止して装具を外します。画像診断で効果が確認されれば3か月程度で8割程度が治癒します。効果が見られない場合や、生後7か月を過ぎて発見された場合は手術が必要になります。

軽症の股関節脱臼を見落とされて、日常生活に支障がなければそのまま成人することもあります。加齢と共に変形性股関節症になる危険性は含んでいますが、手術の必要があるとは限りません。

歩き方が少し変に見えるかもしれませんが、その歩き方も個性のウチに入るものです。本人がそれほど気にする必要がないケースが多いように思えます。

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