多発性筋炎・皮膚筋炎の診断基準とは  

byouin2

全身性の筋肉の炎症性疾患として、皮膚症状を伴わない多発性筋炎や皮膚症状のある皮膚筋炎を起こすことがあります。膠原病とも呼ばれ、発病のメカニズムが明確ではない自己免疫疾患に分類されています。

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◇ 多発性筋炎・皮膚筋炎の原因と症状

本来必要な生体に存在する合成酵素が抗体に攻撃されることで、全身の筋肉に炎症が起きて筋力低下を招くというものです。男女比は約1:2で女性に多く、年齢別では小児と高齢者の発症が目立っています。

数多くの自己免疫疾患の一つに分類されていますが、全身性の自己免疫疾患の中では筋炎が多くなっています。筋線維の半分が破壊されると筋炎としての症状が現れて診断基準を満たすようになりますが、進行性の疾患なので早期治療と悪化防止が必要です。

筋肉に必要な合成酵素が抗原となり、それに対する抗体反応が起きることで筋肉や皮膚が破壊されて、筋力の低下などの種々の症状を引き起こします。筋炎に加えて皮疹などの皮膚症状を伴うと皮膚筋炎と言われる症状になります。

筋力の低下だけでなく部分的な関節炎が主症状の場合もあり、間質性肺炎や皮膚症状、喉の痛みなど、人によって痛みを訴える場所が異なります。全身症状では倦怠感や発熱、食欲不振に伴う体重の減少、その他呼吸困難などの呼吸器系の障害が出るのが特徴です。

◇ 多発性筋炎の有病者数のパラドックス

多発性筋炎と皮膚筋炎の国内の有病率は、年間10万人あたり1.5人程度と言われています。毎年約1,500人の新規認定者が治療対象に加わっているため、平成27年の時点で17,000人の患者数に加えて総患者数は毎年増加しています。

この「17,000人という現患者数」は誰が統計を取っているのか?というと、厚労省が認定した受給者証保持者数に過ぎません。多発性筋炎の診断でも届け出の義務はなく、診断が他の病気であれば多発性筋炎が合併症として治療が行われることもあります。

多発性筋炎の場合10年生存率が80%と言われているので、余命10年の患者が毎年同じペースで増加していると仮定すると、毎年20%の3,400人の患者が減少することになりますが、実際の患者数は増加しているのが現状です。

要するに、上記の数字のうちの17,000人という受給者数を含めて、全ての数字が何の根拠も持たないということになります。入院をためらっている患者や経過観察の患者は統計に含まれないので、実際の患者数は10万人当たり150人でも不思議ではないという適当な統計結果です。

◇ 原因の特定が難しい多発性筋炎

筋炎と診断されると、早期治療のために入院治療になり安静が必要になります。軽症の筋炎の場合は診断基準を満たさないこともあるので、治療が遅れる危険性も考えられます。こういう場合は難病指定や公費負担に該当すると逆に迷惑なものです。

筋炎の症状が出る前に間質性肺炎を起こすことがあります。間質性肺炎は自己免疫疾患の初期症状として多いもので、原因や病名が明らかになる前に悪性腫瘍や肺がんを発症することもあります。また、原因が筋炎と同じ抗体であれば致命的な肺炎になります。

間質性肺炎という病名自体が肺の状態を表しているだけなので、原因の特定に至るまでに肺に感染が見つかれば感染症の治療が行われます。悪性腫瘍が筋炎の原因になることも多くなっていますが、その場合は悪性腫瘍の治療が優先されます。

筋炎だけが最初に疑われる自己免疫性疾患は少ないかもしれません。原因が特定されていなくとも、自己抗体による免疫反応であることが判明すると、ステロイド、免疫抑制剤、免疫グロブリンによる対症療法が行われます。

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