
副鼻腔炎の進行に伴って出来やすいものが、鼻茸というポリープです。顔の大部分を覆っている副鼻腔に慢性の炎症が続くと、副鼻腔に粘膜や膿が溜まっていきます。その化膿した粘膜が鼻腔に流れてくると「鼻茸(ポリープ)」が出来やすくなります。その結果、鼻詰まりによる鼻呼吸の困難さ、頭重感や嗅覚に障害が出ることがあります。 スポンサードリンク
◇ 放っておけない鼻詰まり
副鼻腔炎や鼻詰まりの症状を持っている本人でさえ気付くことが難しい鼻の病気には、いくつかの原因と病気があります。単なる副鼻腔炎と思い込んで放置している人もいますが、慢性副鼻腔炎には困った症状が付随しているものです。
副鼻腔炎が原因となる「肥厚性鼻炎」や「鼻茸」、「点鼻薬の常用」による鼻粘膜の肥厚、「鼻中隔湾曲症」などが慢性的な鼻詰まりの原因になります。
鼻詰まりがあると、いびきや睡眠時無呼吸症候群が続いたり、嗅覚・味覚の異常、副鼻腔の膿による口臭や、蓄膿による記憶力・集中力の低下も起こります。
◇ 副鼻腔炎と鼻茸の治療
副鼻腔炎に伴う鼻茸は鼻腔の奥にぶら下がる形で、副鼻腔の膿を含んだものです。そのため、副鼻腔の治療を行えば鼻茸による鼻腔の狭窄も残りません。
副鼻腔炎の治療ではマクロライド系抗生物質の少量長期投与、または手術が行われます。マクロライド系の場合、投与量ではなく投与した期間に比例して効果が出る(時間依存)という特性があります。アスピリン系は濃度依存型ですが、それと異なりマクロライド系は時間依存型の抗生物質です。
◇ 抗生物質による治療の問題
マクロライド系では、商品名:クラリスが良く使われる抗生物質で、長期投与でよく使われるものです。通常2~3か月で副鼻腔炎に効果を示しますが、服薬だけでは効果がない場合があります。(早い場合は数週間で改善します)
薬や点鼻薬で効果がなければ手術になりますが、抗生物質による長期間の治療と比べると手術の優位性は高く、最初から手術を選択すべきという考えは医師の間にも増えています。
「マクロライド系抗生物質による治療は早めに打ち切るべき」という考えは多く、無効であれば長くても3か月まで。また、有効性が確認できた場合でも6か月までの投与に留める。という考えなど、同じ耳鼻咽喉科でも開業医と大学病院の治療方針は異なります。
◇ 内視鏡化副鼻腔手術とは?
手術の場合、局所麻酔を行い内視鏡下副鼻腔手術が行われ、30分程度で終了します。内視鏡下手術というのは鼻腔に内視鏡を入れてポリープの切除や膿の吸引を行うもので、麻酔が切れると多少の痛みは出ますが、胃カメラのような吐き気はありません。
鼻茸と副鼻腔炎だけでなく、鼻中隔湾曲症の手術も同時に出来ます。全て行った場合にかかる時間は60分~90分程度です。手術後は1日ほど経過観察を行い、翌日に退院となります。鼻茸の切除だけであれば日帰り手術になります。(稀に出血が多いと手術を途中で中止することがあります。)
30分で手術が終わり、腫れが引くとスッキリと鼻通りがよくなり呼吸が楽になります。その後、再発を起こしやすいものですが、その場合は再手術を受ける事ができます。

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