ネコとトキソプラズマ感染症

neko

近年ではネコを屋内で飼う事が急増しています。ネコの餌もグレードアップするにつれて生肉などから原虫に感染する事が増えています。糞中にトキソプラズマという原虫が排出されると、糞中で次第に感染力が強くなっていきます。妊婦と胎児に悪影響を及ぼすことが無いよう、注意を払う必要があります。

スポンサードリンク



◇ 脳を支配するトキソプラズマ

トキソプラズマ・ゴンディーという単細胞の原虫の感染により、小動物や人間の脳に影響を与えて、まるでコントロールを行っているかのように見えるという錯覚のような現象があります。

ネコの糞を食べたネズミが感染するとネズミの脳に影響を及ぼした結果、ネコに対して恐怖を感じなくなり、無防備にネコの近くに寄って行った末に食べられてしまうというものです。

そしてそのネズミを食べたネコが再感染するというサイクルがあり、愛猫家が猫の糞を処理するときに感染してしまうと、人間にも影響が及ぶという説が一般的なものです。特にネコを飼っている人は「怒りっぽい性格になる」という話もあり、それがトキソプラズマによる精神への影響という俗っぽい説もあるようです。

◇ トキソプラズマと精神病

人間が感染した場合、トキソプラズマの原虫が腸管から吸収されてリンパ液や血液中に入り込みます。健康な人間であっても身体的な症状が出ないまま体の中に住み着き、加齢などにより免疫系に異常があれば、うつ病をはじめとする多くの精神疾患や脳炎、神経疾患の原因になります。

また、トキソプラズマがヒトの体の中で繁殖すると、自己免疫疾患を引き起こすこともあり、潜在的な感染に気付かずに免疫抑制剤を使うと、体内で一気に感染が広がります。トキソプラズマという単細胞の原虫が脳を支配するというよりも、繁殖のための手段を得たという表現の方が正しいかもしれません。

◇ そもそもの感染源はどこ?

ネコが最終宿主と言われていますが、ネコの糞をネズミが食べるという前提が無ければ人間に感染を起こすことはありません。実は全ての食肉が感染源となっているので、非加熱の食肉を人間やペットが食べると感染を起こします。土壌表面にもトキソプラズマの原虫が存在するので、洗浄が十分でない生野菜にも危険性があります。

そのため、家畜の間でトキソプラズマの感染が広がった場合は、家畜伝染病予防法により届出伝染病に指定され保健所に届け出る義務があります。

しかし、なぜネコがクローズアップされているかというと、生肉や生野菜を食べて感染しているネコの糞便中にトキソプラズマが含まれていた場合に、1週間ほど経過すると糞の中で人間に感染させることが可能なほど増殖します。

ネコは感染しても無症状なので、それに気づかない人間が糞便の処理をすると感染、発病の危険性が高まります。人間が最終宿主に思えるかもしれませんが、ネコの糞から感染してもネコを食するわけではないので、ネコが終宿主になります。

◇ 妊婦の感染リスクと症状

健康な人は稀に風邪のような症状が一時的に出ることもありますが、ほとんど感染にも気付かない程度で済みます。妊婦の場合はエストロゲンの濃度減少によって免疫力も低下気味になり、胎児に伝染させる危険性が高まります。

妊娠初期に妊婦が初感染した場合、胎児への感染リスクが低い(10%前後)とはいえ、感染していれば胎児への影響は大きくなります。死産や流産のリスクだけでなく、出産後に先天的な精神障害が生じたり死亡することも多くなります。妊娠後期に母体が感染した場合は、胎児への影響は少ないですが、先天的トキソプラズマ症として網膜に異常が出ることがあり、いずれ精神症状が出る可能性は無くなりません。

妊娠初期には感染の有無を調べるためにトキソプラズマ抗体が陽性かどうか検査をしますが、陽性の場合はさらに感染時期の特定を行い、妊娠前か妊娠後か検査をします。妊娠初期の場合は早期治療によって胎児に与える影響を20%前後に抑えることができます。

妊娠前から陽性であった場合は心配ありません。70%以上が妊娠前の感染という検査結果もあるので、それほど神経質になる必要は無いかもしれませんが、無用な感染は避けるのが無難です。

しかし、ネコがトキソプラズマを排出するのは生涯で1度だけなので、妊婦がいる場合は動物病院で血液検査を行うと安心できます。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
スポンサードリンク







関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

スポンサードリンク

お役に立てたらいいね!

ページ上部へ戻る