降圧剤が効かなくなるアルドステロン症

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血圧を上げる作用のあるアルドステロンというホルモンが、主に副腎から過剰に分泌されることによって高血圧と臓器障害を招きます。これに対する薬として抗アルドステロン利尿薬を使う事で、降圧作用だけでなく臓器保護にも有効であることがわかっています。


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◇ アルドステロン症とは

降圧剤を服用しても血圧が下がらない原因として、全体の90%以上を占める原因不明の本態性(原発性)高血圧がありましたが、二次性の高血圧患者の5%に当たる200万人は降圧剤の効果がない原発性アルドステロンといわれています。

高血圧の原因になるレニンーアンジオテンシンーアルドステロン系では、最初に腎臓の血液の流れが悪くなると「レニン
が分泌されて血圧を上げようとします。次に「アンジオテンシン
に代謝され、受容体に結合すると血圧が上がります。

アンジオテンシンの分泌過剰に対する薬は通常の降圧剤ですが、その先の代謝物アルドステロンは副腎に腫瘍などの障害があれば過剰に分泌されます。

◇ アルドステロン症の症状

副腎の障害が原因でアルドステロンの分泌異常が起きると、高血圧の治療薬は効きません。ナトリウムが再吸収され、カリウムが排出されるので高血圧だけでなく低カリウム血症に陥ると、筋力低下や四肢麻痺、高血糖などが起きやすくなります。体内でナトリウムが増えると、それに比例して貯留される水分も増えるので浮腫が起きやすくなります。

生命に関わる症状では、脳卒中や心筋梗塞、腎不全のリスクが増えます。高血圧患者と比較すると心室細動では12倍のリスクを負います。長期的には心室肥大が進行していきます。主に脳と心臓の血管障害に与える影響が大きいのですが、高カリウム血症と同様に低カリウム血症は不整脈を起こします。

アルドステロンというホルモンは、血管に炎症を起こさせて血管の平滑筋を壊死させて内皮細胞を破壊します。例え高血圧ではないとしても血管に与えるダメージは大きくなります。

アルドステロン症の診断は内分泌系の難しい要素が多くなっていますが、レニンの濃度と比較すればある程度は見当がつきます。また、降圧剤や利尿剤を服用しても血圧が140/90mHg以下に下がらない場合もアルドステロン症が疑われます。

◇ アルデステロン症の治療薬

通常は腹腔鏡手術によって副腎摘出を行うと、高血圧は改善されて降圧剤が不要になる場合もあります。手術が適応にならない患者であれば、利尿剤として抗アルドステロン薬が使われます。

抗アルドステロン薬には、内服薬としてスピロノラクトン(アルダクトン)が使われていましたが、副作用として男性ホルモンの受容体までブロックしてしまうので、女性化乳房や乳房痛がありました。(それほど問題の大きい副作用ではありません)

2007年にアルダクトンの受容体だけに作用する利尿剤が開発され、エプレレノン(セララ)が登場しています。カリウム保持利尿薬として、カリウムが尿中へ流れ出すことを防ぎ、ナトリウムや塩素の再吸収を防いで体外に排出する作用を持っています。

従来の利尿剤の副作用として低カリウム血症がありましたが、エプレレン(アルダクトン)では、副作用として高カリウム血症が出てきました。降圧剤の相乗作用に期待して少量から始めるのがいいかもしれません。

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