
感染性胃腸炎の原因となる細菌やウイルスでは、カンピロバクターやロタウイルス、ノロウイルスが主なものです。これらのウイルスによる感染性胃腸炎のピークは冬に多いと言われていますが、感染者数自体は1年を通して病院や保育園・幼稚園などの施設で集団感染を起こします。 スポンサードリンク
◇ 嘔吐や下痢の患者に注意
集団食中毒の代表的なウイルスとしてノロウイルスがあり、秋から春にかけて流行を見せますが、汚染源があれば一年を通して感染の危険性があります。特に感染力が強いノロウイルスに対してヒトは免疫を持たず、ワクチンなどの予防策もありません。
感染源としては加熱殺菌されていない食品や、不衛生な調理場で調理されたもの、河口で生物濃縮を行う二枚貝などに危険性が高まります。集団感染が主な感染形態であり、家庭内では無防備な咳や汚物の処理を行う時に飛沫感染によって感染が広がります。
また、流行を起こす施設としては、幼稚園や保育園を初めとして、高齢者の多い病院や施設などが感染源になり、嘔吐物や糞便の処理時にノロウイルスやロタウイルスの施設内や家庭内流行を招きます。
感染者数の把握については、集団感染の際に糞便から抗体を検出することもありますが、通常は症状と感染力の程度によって推定されるので、正確な実数は把握できていないのが現状です。
◇ ウイルスに感染すると
小児や高齢者が感染すると、下痢やおう吐などの消化器系の症状や発熱などの風邪症候群に似た症状が出ますが、ウイルスが下痢によって排出されるため、長くても2日以内に症状が無くなるのが一般的です。
下痢はウイルスを排出するために必要な生体反応なので、止瀉薬(下痢止め)や吐き気止めを使用するとウイルスが体内に留まる時間が長くなります。止瀉薬を使わず、4日以上にわたる下痢の場合は感染症の可能性がほとんどありません。
必要に応じて一時的に止瀉薬を使うことは仕方ない部分もありますが、慢性の下痢であれば、潰瘍性大腸炎など、腸に疾患が起きていることも考えられるため、念のために検査を受けましょう。
ロタウイルスやノロウイルスに感染しているかどうか?という検査は治癒が1~2日と短いため特に必要性はなく、あまり容易ではないウイルス検出を行ったところで、主に対症療法しか治療法がないので通常はウイルスの検出は行いません。抵抗力がないため重症化しやすい3歳未満と65歳以上に限って検査が保険適応のため、糞便中の抗体検出を行う場合があります。
◇ 食中毒の合併症や重症化
「カンピロバクター」の場合、十分に加熱されていない生肉からの感染がほとんどで、集団感染は稀な食中毒です。汚染率100%の鶏肉(加工鶏肉では60%程度)をはじめとする食肉などから、わずか数百個のウイルスでヒトが感染して症状が出ます。「腸管出血性大腸菌
に至っては、わずか2個の細菌でも発病させるだけの感染力があります。
カンピロバクターは細菌なので、他のウイルスによる食中毒と比較すると治癒までに7日ほど症状が続くのが異なる点です。重症化すると神経症状や呼吸困難を起こすことがあり、稀に死亡例もあるので要注意です。
鶏肉から完全に細菌を取り除くことは難しいので、口に入れる前に中心部分を75℃以上1分間以上にわたって加熱することが必要です。特に焼肉店では、加熱済みのささ身と生のささ身が交差するときに感染の危険度が高くなります。
「徹底して焼いた牛ロース
の上にささ身の肉汁が1滴落ちると感染可能な状態になるので、大人数の場合は十分に加熱しても油断できないという理不尽な現象が起こります。
◇ 家庭内感染防止の対策とは
食中毒を起こす細菌やウイルスの場合、嘔吐物や便からの飛沫感染によって感染者が増える事があります。飛沫感染とはいえ、エアロゾル(殺虫剤のスプレーのような細かい液体)として空気感染を起こす危険があります。
対策としてN95マスク(200円程度の使い捨てマスクで十分です)を着用すればウィルスやPM2.5などの粒子を95%カットできるので、家庭内でも安心できます。
発病した者が触れた場所も感染の原因になります。アルコール消毒はインフルエンザや他の食中毒の原因菌に有効ですが、ノロウイルスやロタウイルスに対する殺菌効果はありません。塩素系漂白剤に含まれる次亜塩素酸Naに十分な殺菌力があるので、場所に合わせた濃度に薄めて使用すると高確率で感染を予防する事ができます。

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