前頭側頭型認知症の症状と脳科学

byouin2

前頭葉・側頭葉が萎縮して機能しなくなると、人格の変化や異常行動を起こすようになり、状況の把握や理性的な思考ができないまま同じ行動を繰り返します。ピック小体が存在すると若年性認知症といわれ、この部分に影響を受けるため、意味不明な言動や性格の変化が顕著になります。健忘や見当識の異常が見られないのが特徴です。

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◇ 前頭側頭型認知症(FTD)と違法行為

40代~60代に多く、他の認知症と異なる点は、記憶障害や見当識の異常が見られず多くの異常行動を起こします。特に反社会的行動を取るのが前頭側頭型認知症(FTD)です。社会秩序の中で生活する事は難しく、万引きを繰り返すこともありますが、本人に罪悪感がなく違法行為を繰り返している認識もありません。

感情鈍麻が悪化するとともに自制心も低下します。情緒障害や人格障害が次第に悪化していき、反社会的行動は犯罪のレベルにエスカレートしていきますが、無欲や無関心が共通した症状なので、一般的な犯罪者との違いは犯罪の自覚がないという点です。粗暴な性格や自制心の無さが原因で対人関係や態度はひどくなり、反感を買いやすい態度になるのも病気がなせる技です。

このタイプの認知症の認知度?は低いので、前頭側頭型認知症の症状が考慮されない事が多く、警察の取り調べや裁判官に対する態度も悪いので有罪判決が下されています。同じことを繰り返した結果、検察や弁護士がFTDの疑いがあると気付くまでに、何度も同じ反社会的行動を繰り返します。

前頭葉側頭葉の血流検査・PETによるブドウ糖代謝・脳の萎縮の有無を調べるとFTDが判明します。とはいえ、何度も繰り返すため無罪になることは珍しく、保護観察や強制入院などの措置が取られます。アルツハイマー病と異なり、幻視・記憶力低下・見当識の異常が見られないので、重症の場合は医師が見ると区別がつきやすい症状です。

◇ 前頭側頭型認知症の病態

タウタンパクが原因で前頭葉の萎縮が起きた結果、理性的、論理的な思考が不可能になり意思決定能力と感情を失います。これが突発的に異常行動やワンパターンの行為を繰り返す原因になります。

大脳前方の前頭葉と下方の側頭葉がありますが、悪化している時であれば画像検査によって前頭側頭葉の萎縮が見られます。検査技師や医師であっても、発病初期では明確にわかるとは限らず、精神疾患と誤診されやすいものです。

原因物質のタウタンパクやPick小体が脳神経に絡まって影響を与えているので、ピック症とも呼ばれます。前頭側頭型の萎縮とはいえ全てに障害が出るわけではないので、人によって症状が異なり前頭側頭型認知症としていくつかのタイプに分類されています。

◇ 前頭側頭型認知症の症状

1)自らの行動の抑制ができず、本能の赴くまま性的な欲求を強制することがあり、罪悪感がないので同じことを繰り返す。しかし、認知能力はあるので自分の行動は記憶しており、善悪に関係なく自分の行動を認める。

2)自己中心的で欲求に抑制が効かないため暴力的な行為が目立つ。堂々と痴漢を行い注意されると怒る。稀に暴力をふるうことがある。悪い事だと戒めても、それを理解して納得することは期待できない。

3)側頭葉の言語野が障害されると、言葉の理解力がなくなり自ら言葉を発する事や意思の伝達が難しい。話そうとしても言葉が浮かんでこないのでオウム返しのようになり、呂律が回らないなどの言語障害が起きる。

4)脳機能の低下に伴って主体性がなくなり、相手と同じ行動を取るようになる。相手にとっては馬鹿にされたと勘違いされやすい。外見や簡単な会話では障害を持っていると判断されないので、話しかけた人間を不愉快にさせる。

5)周りで起きていることが把握できないので信号無視を平気で行う。注意されると怒り出すことがある。しかし周りの騒音には反応して苛立つ。

6)病気という自覚がないので、病院に行くことを嫌がる。

◇ 前頭側頭型認知症の治療と予後

前頭部にある前頭葉連合野は人間らしさを持たせるための器官で、高次な情報を受け取って処理を行う際に感情といわれるものになります。老化に伴って前頭葉の神経細胞が減少していくため、急速な老化が起きた時の症状と考えることもできます。

老化に伴う脳細胞の死は不可逆的で避けられないものであり、60歳前後から人間らしい感情や記憶力が次第に減退していきます。自分の記憶力の低下に嫌気がさしたり苛立ちを見せるのも人間的で、通常の老化の過程では感情が完全になくなることはありませんが、老化が急速に起きたと考えた場合、このタイプの認知症と同様であるという結論になりそうです。

FTDの治療は対症療法的な処置や投薬が行われていますが、脳神経細胞が元の状態に戻ることはありません。この病気に罹った場合、生存期間は極端に短くなり4年~8年程度です。精神病薬の投与は逆に悪化の速度を速めるといわれているので、患者の家族が治療法を選択すべきかと思います。

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