夏に思わぬ危険を招く乾燥溺水とは?

byouin2

ニュース性の高そうな、乾燥溺死(Dry Drowning)という言葉が急に知られるようになったようです。アメリカで5歳の子供の犠牲者が出たことでニュースになっていますが、プールから帰宅後の少年がベッドの上で死亡したことで、国内のニュースサイトが飛びついている様子。

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◇ 国内でも珍しくない乾燥溺水

プールで泳いで帰宅した少年が、「眠い」と言ってベッドで休んでいる間に、口からあわを吹いて死亡。死因は溺死だと言われています。まるで夕食の1時間後に餓死したかのような勢いで、日本でも話題になっています。

理屈上は「スプーン1杯の水でも、誤って気管支に入る(と溺死する)」という医師の説明があったようです。気管支に水が入って呼吸困難で死に至るということは考えられず、気管支に入った水は咳とともに排出されるのが通常の反射です。

「子供がプールから帰ったあとは、極度の疲労や眠気に次いで呼吸困難の症状が現れることがあります。注意しましょう」という結論で終わっています。

◇ 実は子供に少ない喉頭麻痺

この症状は喉頭麻痺(声帯麻痺)と呼ばれるもので、国内でも年齢を問わず起こっています。どちらかというと子供は起きにくい喉頭の痙攣で、声帯麻痺とも言います。

プール帰りであれば1時間以内に起きることがあり、横になってせき込むと喉頭麻痺が起きやすくなります。その状態が長時間続くと、喉頭にある声門が閉じたままになり呼吸ができなくなります。

この声門とは気道の声帯に当たる部分で、分かりやすく表現すると口呼吸をした時に空気が通過する部分を喉頭といい、口の奥から声帯の下までの間です。気道と並行して食道があるので、食事の時には食道を通り、呼吸するときには気道を通ります。

気道や気管支に食べ物が入ると誤嚥と言いますが、その時は自動的に咳反射が起きて気管から外部に吐き出すようになっています。条件反射ではなく、ただの反射ですね。水を飲み込んで気管支に入ると咳が出るはずです。咳で排出されなければ誤嚥性肺炎というケースもあります。

◇ 水を吐き出したらセーフ?

咳反射によって吐き出したら大丈夫とは限りません。その吐き出す時に声帯が痙攣を起こすことが稀にあります。声帯が痙攣したまま閉じてしまうと、呼吸が出来なくなるので、ダメージを食らいます。咳が出来ない、声が出ない、という状態になることもあります。

特に起こりやすいのが、「横になった状態で咳き込んでいるとき」に、声帯が麻痺して呼吸困難が続いて窒息します。この状態は水を飲んだ時とは限らず、食事の時、喉の神経障害、気道確保をする際の挿管によって起きることもあります。気道確保のための挿管でも喉頭全体が痙攣を起こして気道が完全に詰まります。

声門が閉じると呼吸が全くできない状態になるので、人工呼吸が出来ず気管挿管も難しい状態になると、救急車を待つ間に心停止もあり得ます。声帯麻痺によって声門が閉じると、10分以内に気管切開などの処置で気道確保の必要がありますが、救急救命士は体にメスを入れることも注射もできません。放っておくと心停止が待っている者に対して何もできないというのが、日本の医師法です。

ステロイドや筋肉弛緩剤の投与で呼吸の確保は可能ですが、救急病院に着くまでは処置らしい処置は誰もできないので、自分でメスを持って気管切開するしか手段はないかもしれません。

喉頭痙攣を起こしやすい人は、元々声帯や神経に異常があるかもしれません。耳鼻咽喉科や総合病院の麻酔科を受診しましょう。

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