
この時期に肺炎や結核と間違えやすい肺化膿症の初期症状があります。肺炎より悪性で細菌感染により肺に膿が溜まるのが特徴です。症状が進行すると胸痛や呼吸困難を起こすようになります。症状が進行して胸部X腺で判明したものの抗生物質では治らないというケースもあるので、早めの受診をお勧めします。 スポンサードリンク
◇ 肺化膿症(肺膿瘍)の原因と症状
基本的に一般細菌による感染が原因になります。黄色ブドウ球菌や緑膿菌、大腸菌が多く、糖尿病などの免疫力低下や、繰り返し起こる誤嚥なども肺化膿症の原因として多いものです。口内の嫌気性細菌も大きなウェイトを占めており、歯周病菌や虫歯菌が肺に入り込むと、症状がゆっくり進行していくことがあります。特に高齢者は単なる肺炎球菌感染症の可能性も考えられるので注意を払う必要があります。
肺化膿症の特徴的な症状として、初期症状では高熱に加えて咳や淡、肺の炎症による胸部痛が主なものです。進行すると高熱を伴った悪寒や淡、呼吸困難があり、胸部痛も引き続き悪化していきます。
次第に悪化していき、肺の組織が壊死を起こすようになると、膿瘍の悪化に次いで肺壊疽の危険な状態に陥ることがあります。
◇ 症状が持続して治らない場合
一般的な肺炎を起こす菌でも起こりますが、口中の常在菌や歯槽膿漏の原因になる中温性の嫌気性菌・好気性菌などの一般細菌(36℃前後の温度を好み、ヒトの体内で増殖しやすいタイプで、塩素消毒で死滅する細菌類)が大半を占めています。
一般細菌に対して真正細菌がありますが、真正細菌とは大腸菌類を含むバクテリアや桿菌など、一般的な抗生物質では死滅しにくい細菌類のことであり、肺化膿症ではほとんど見られません。
胃食道逆流症や誤嚥、歯槽膿漏が主な原因になるため、口腔内の除菌で発症を防ぐことも可能です。感染症状として肺に炎症や膿瘍を起こして膿が溜まるまで悪化すると、抗菌剤による治療が長引きます。さらに悪化した場合は肺壊疽を起こすことがあり、肺の切除など手術が必要になることもあります。
◇ 肺化膿症の治療と予後
初期症状として肺の炎症や咳、痰などがあれば、抗菌剤の長期服用による治療が行われます。痰を採取して細菌の特定を行う事が出来るため、効果のある抗生物質や抗菌剤が使われますが、効果が見られない場合は肺の生検により膿を取り出して再度細菌の特定を行います。数種類の細菌に感染している場合があるので、広域スペクトラム(広範囲の細菌に対して効果のある)抗生物質よりも、特定の細菌に効果を示す抗生物質を数種類使用します。
ある程度症状が進行して肺に膿が溜まると、胸部レントゲンやCTスキャン、肺内視鏡などで病巣の状態を把握できます。その状態により、ドレーンを使って外部に排出すると症状は収まるものですが、膿が溜まっている部分は肺胞が壊死を起こしているので、範囲が広い場合はドレーンや抗生物質だけでは症状が収まりません。胸部痛や血痰が収まらない場合は、肺の部分切除が行われます。いずれも症状を見て処置が行われますので、患者の意思が治療に反映されるケースが多い病気ともいえます。

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