
レーシックが普及して久しい現在、2008年の45万例のレーシック手術が2012年では20万例、2014年の統計では5万例に激減しています。レーシックを推進している眼科によると、手術例が減少した理由として「過去に起きた角膜の集団感染」、「低価格で多機能の使い捨てコンタクトレンズの普及」などを挙げていますが、実は異なる理由によって患者がレーシック離れをしていることが分かっています。 スポンサードリンク
◇ レーシックの数字上の高い効果
視力が0.5以上に改善される確率は99.5%を超え、角膜を切開するとはいえ安全性はある程度確立されているような広告が見られます。眼鏡とコンタクトレンズで視力矯正が可能なので、あえて正常な角膜の屈折率を改善させるという意味では不要な治療として自費扱いになっています。
それが原因となり、ある程度の減少があったと考えられますが、現在では医療費控除の対象になっています。生命保険や医療保険の給付対象になっている場合もあり、それほど金銭的な負担が大きいというわけでもありません。
レーシックの治療費が10万円弱の安いものでは角膜の切開は大きく、再手術の可能性があります。40万円程度の高いものでは角膜の切開を最小限に抑えることが可能であり、料金次第で角膜に対するダメージは異なってきます(いずれも両眼の価格)。
過去に行われていた50万円を超えるような治療費は見かけなくなり、感染症などの合併症の危険性も無くなっているにも関わらず、稀に集団感染のニュースが流れたり、サッカーの本田圭祐のレーシック失敗談がネタになることもあるようですが、それらはレーシック離れとは無関係です。レーシックの患者数激減はリーマンショックが原因だと主張する眼科医もいるようですが、まったく関係ありません。
◇ レーシック離れの原因とは?
実際にレーシックの手術を行った者が、感染症などの合併症を起こさず視力が確実に上がるという意味では、レーシックの最低限の条件を満たしているため、成功例と言えるかもしれませんが、患者が満足しているかどうか?というアンケートでは、約40%の人が何らかの不具合を訴えています。
消費者庁と国民生活センターが2013年に苦情を受けて発表したものでは、「安易にレーシックを受けない方が望ましい」という内容で、光がぼやけて見えるハローグレアや、角膜の表面が従来の弧ではない不正乱視、目の痛み、ドライアイなどが原因で消費者庁に年間数十件ほどの苦情があるとのこと。
◇ レーシック推進派の反発
レーシック推進派の眼科医と弁護士としては黙っていられないようで、消費者庁に圧力をかけて発表内容の撤回を求めていた様子です。「100%安全ではないとしても、かつてレーシックを受けた患者が失明していないから問題はない」という怖い詭弁を展開しています。
また、「レーシックの平均費用が35万円なので、使い捨てコンタクトを10年以上使うと考えれば元が取れる」という計算が成り立つとのこと。
そこまで話が飛躍するのであれば、ハードコンタクトを5年サイクルで使った場合は10年当たり10万円程度で済みます。30年間でも30万円です。結局、ハードレンズのコストパフォーマンスが最も良く、角膜のダメージもないという結論になりそうです。
◇ 最も気になる副作用や後遺症とは?
「失明することがない」という主張は当然ですが、実際に症状を訴えているケースとして、急に視力を上げ過ぎると気分的な不調が出てきます。これが40%を超える術後の不満ですが、過矯正を行った時に視力以外に起こる身体症状があります。
例えば0.02の視力を1.0や2.0に上げた例は多くあるため、視力回復の意味では成功でも、視力を上げ過ぎる「過矯正」を行った場合に、頭痛、吐き気、眼痛、不眠などの症状が出てきます。他には遠視になり近くが見えにくくなったため遠近両用の眼鏡をかけているが、眼精疲労がひどくなった、複視や遠視による吐き気がひどい、など。
ドライアイが最も多い症状で、「常に目薬をさす必要があり、10分おきに目薬をささない限り、目を開けることができない」という訴えもあり、希望した視力まで上がったものの、頭痛、眼痛、吐き気、不眠、遠視、ドライアイがレーシック手術後の40%以上に起こる症状です。
レーシックの手術を受ける者は、インターネットの情報を頼りにしていることが多く、眼科医の十分な説明を受けないまま手術を受けることが問題になっています。消費者庁によると「全く不具合がない」という者は全体の56%に過ぎないので、「成功率99.5%」という数字は参考になりません。

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