
2017年1月9日~15日の1週間の集計では、医療機関を受診したインフルエンザ患者が99万人を超えています。1月8日までの前週の集計では81万人なので、ピークはまだ先になりそうです。2016年の流行は例年より1カ月半ほど早かったことから、流行から収束までの期間は例年より2カ月以上長くなりそうです。ところで、インフルエンザの有効な予防法とは? スポンサードリンク
◇ 空間除菌に期待した結果の院内感染
大手の医薬品メーカーから、置くだけで空間除菌ができるタイプの商品が増えていますが、もし病院内に大量に置いたとしても、患者全員が首から下げている場合でも、感染者の一人が咳をすれば入院患者のほとんどが感染します。空間除菌に効果がないことは数年前から実証されています。
正露丸でおなじみの大幸薬品の「クレベリンゲル」は、据え置き型と首から下げる携帯型を販売しています。揮発した二酸化塩素を呼気に混ぜるという目的で、口から30センチほど下に位置するように首から下げます。
医療関係者の一部の者が空間除菌の効果があると思っているのかもしれず、無防備になったところで集団感染が起こるのかもしれません。
◇ インフルエンザの予防でやけど
二酸化塩素を発生させるために次亜塩素酸Naを入れるタイプでは、化学熱傷が相次いでおり、次亜塩素酸Naが皮膚に付着した場合は、すぐに洗い流して皮膚科を受診する必要があります。
消費者の苦情を受けて、完全な第三者としての「独立行政法人国民生活センター」が商品の有効性を測定した後に、然るべき行政機関と販売業者に通知しますが、現在の段階では「空間除菌の根拠なし」という結果です。この結果を受けて、消費者庁が行政処分を行っています。
二酸化塩素を全く放散しない商品があり、その場合は害もなく効果もないのですが、規定の濃度を超えて刺激臭が大きい商品では健康被害の恐れがあります。ともかく、「インフルエンザの予防に効果がある」と記載した場合は薬事法違反になるという結論です。
(参考)国民生活センター「二酸化塩素による除菌をうたった商品について」
◇ シナモンマスクでインフルエンザ予防
シナモンとは漢方薬に使われている桂皮のことで、経口投与するよりもマスクから吸入する方が、有効成分のシンナムアルデヒドをダイレクトに肺に入れることが出来て効率的だということです。インフルエンザの増殖過程を阻害するのでウイルスの型に関係なく有効という説明で、機序はほとんど分かりませんが、現在は臨床試験の参加受付を行っているところです。
桂皮は昔からある漢方薬なので効果は判明しています。マスクにシナモンを含ませるだけで治験が必要なのかわかりませんが、副作用の確認目的で行われます。ともかくインフルエンザの予防効果があるという千葉大学和漢診療学の治験の紹介です。締め切りは2017年2月末まで。謝礼金なしで、50名の募集を行っています。応募はこちらまで。といっても、有効成分を含まないマスクだけの対象群に選ばれると困りますね。
薬剤を呼吸で肺に入れることは以前から行われているもので、「スニフ」といいますが、ステロイドや気管支拡張剤の吸入と似たようなものです。呼吸で肺胞に到達すると、すぐに血液中に取り込まれます。これはインフルエンザの治療ではなく、ウイルスの増殖を抑えて発症させない予防法なので、お間違えなく。

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