インフルエンザの検査キットを使わない理由と誤診

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11月~2月の流行時期には、開業医でも1日に10人以上のインフルエンザの患者の診察を行っています。その経験上インフルエンザは問診でわかるので検査は不要という医師が多いようです。38℃~40℃以上の高熱が続き、倦怠感、悪寒と関節の痛みがあり、インフルエンザの予防注射をしていなければ、その症状だけで他の病気の可能性を考えない医師がいます。果たしてそれで大丈夫なのでしょうか?

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◇ 検査結果と治療は無関係

インフルエンザが流行している時期に病院に行って診察を受けると、高熱、酷い倦怠感、悪寒、関節痛があれば、経験的にインフルエンザと判断します。「ほぼ100%インフルエンザで間違いないでしょう。検査は数十分ほどかかるから時間の無駄です」と言われるのがオチなので、検査をリクエストしても同じことです。

検査キットでは偽陰性と偽陽性があるので、結果が間違っていれば問題になることがあります。症状があるのに陰性という結果が出れば、職場や学校でウイルスを撒き散らすことになります。

結果が陰性でも「まだ感染初期だから、そのうち陽性になりますよ」と言われます。検査で陰性や偽陰性の結果が出ても、それぞれ3分の1前後はインフルエンザにかかっています。検査結果の不確実性が影響して、検査キットを使った場合でも、結果に関係なくインフルエンザとして治療と投薬が行われます。

主に咽頭扁桃(鼻のアデノイド)から綿棒で粘液を採取して迅速キットを使いますが、従来の迅速抗原検査キットは感度が低く、感染初期は抗原の検出ができないため異なる検査結果が出ることが増えています。インフルエンザウイルスに感染した場合は口蓋扁桃(診察中に舌圧子で舌を押さえた時の喉の周辺)のあたりに特徴的な腫れ方があるので、症状と併せてインフルエンザと判断するのが合理的です。

◇ 乳幼児の肺炎を見逃すことも!

インフルエンザの流行時期の場合、症状を説明できない乳幼児がインフルエンザと診断され、解熱剤の座薬を使っても「一時的に熱が下がって再び高熱になる」ということを繰り返した場合、肺炎の可能性があります。小児科ではインフルエンザと誤診をされてもそれほど大きな問題にはなりませんが、レントゲンを撮ることがなく、炎症反応の検査をするわけでもないので肺炎を見逃して重症化することがあります。

ちなみに、解熱鎮痛剤にボルタレンを使うと「インフルエンザ脳症」が悪化して生命の危険があります。座薬はボルタレンとアセトアミノフェン(アンヒバ座薬)の2種類があるので、アセトアミノフェンを使いましょう。抗インフルエンザ薬を服用してもインフルエンザ脳症が起こる可能性は変わりません。2歳以下の場合、座薬の用量は体重1kg当たり10mgで計算すれば問題ありません。

◇ なぜかペニシリンが処方される!?

逆に、インフルエンザが流行っていない時期であれば、扁桃炎と診断されるかもしれません。口数の少ない医師の場合は病名や薬の説明をしないので、会計の段階で処方箋を見るとオーグメンチン(ペニシリン)が書かれている可能性があります。

口内は一般細菌などの常在菌が多く、βラクタマーゼという酵素によって薬が分解されるので、ペニシリン+βラクタマーゼ阻害剤のオーグメンチンが使われます。インフルエンザでも二次感染に対して抗生物質が出されることがあるので、ペニシリン、アモキシシリン、オーグメンチンなどのペニシリン系に効果があります。本人はインフルエンザの自覚があっても、口内細菌の治療薬しか処方されていなかったりします。

◇ 感染初期でも検出可能な迅速検査キット

上記の検査キットは従来品の話ですが、最近ではA型B型に関係なく、感染初期でもインフルエンザに感染していることが分かる短時間検査キット「FluAB」が販売されています。以前と同様に鼻腔から採取して、感染初期の場合でも6分以内に陽性の仮判定が可能です。病気が進行して抗原が多くなれば1.5分で正確にインフルエンザと仮判定されます。陽性の可能性があれば10分経過後に判定が確定します。

「まだ初期だからウイルスが検出されない」とか、「インフルエンザなんだから検査は必要ない」と言われることも無くなります。新しいキットでの検査自体は1回分が150点なので、3割負担で500円です。

もし、キットを使わずにインフルエンザと診断されると、抗インフルエンザ薬が処方されるので、その方が患者にとってはいいかもしれません。実はインフルエンザではなく、ただの風邪や扁桃炎だった場合でも感染予防としてタミフルを服用することができるので、無理にキットを使ってもらう必要はないかもしれません。扁桃炎の場合は二次感染予防として抗生物質を出してもらいましょう。

インフルエンザが流行している時期は「扁桃炎」も「肺炎」もインフルエンザにされる可能性があるので、感染初期でも100倍の感度を持つ迅速検査キットを使うようにリクエストすることをお勧めします。

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