老人性難聴のメカニズムと新しい治療法 

otosiyori

ヒトの五感の中で最後まで残るものが聴覚なので、加齢とともに聴覚が低下していくことは合理的ではない現象ですが、老化が必ずしも聴力の低下を招くとは限らない、ということが常識になりつつあります。果たしてそのメカニズムに潜む新常識とは?

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老人性難聴の不可逆的な症状とは?

老人性難聴は進行性であり不可逆的な性質を持っており、内耳の蝸牛が受ける酸化ストレスは加齢と共に進行していくことが明らかになっています。

リンパ液で満たされた蝸牛には、低音から高音まで周波数別に音を検知する有毛細胞があり、活性酸素による酸化ストレスが原因となり高音部分から損傷を受けていくことで、高音域から次第に聞こえが悪くなる老人性難聴が起こります。

損傷を受けた有毛細胞は再生する事がなく代替器官を持たないため、現在の時点では不可逆的な侵襲ということになります。

ただ、老人性難聴の発病を抑え、進行を止めることは可能であり、再生医療によってある程度聴力の回復が期待できる非可逆的な(元に戻すことが可能でも完全に戻るとは限らない)難聴になる可能性を持ち合わせています。

老人性難聴に伴う感音性難聴の理解

全体の音域の聞こえが悪くなることは主に伝音性難聴といい、補聴器を使えば正常に聞き取ることができますが、高音部分の聞こえが悪くなることは単なる難聴ではなく、補聴器を使って音を増幅させても元の聞こえ方にはなりません。

ある音域の聞こえが悪くなる場合は感音性難聴といいますが、老人性難聴は感音性難聴の部分を持った難聴ということになります。周波数の高い高音部分(約1000Hz~6000Hz)の聞こえが悪くなると子音が聞き取りにくくなり、周波数の低い低音部分(500Hz前後)にある母音だけが強く聞こえるようになります。

最初に5000Hz付近にある「S」が聞こえにくくなり、軽度の感音性難聴(老人性難聴)の場合は、「どうしたの?」が、「どういたの?」になり、感音性難聴が進行すると多くの子音が抜けて聞こえるようになり、「意思表示」が「いいひょうい」に聞こえるなど、言葉は聞こえていてもはっきり聞き取ることができないという状態です。

老人性難聴の悪化とコミュニケーション能力

しかし、老人性難聴は徐々に症状が進行していくため、ある程度の対処は自分で行っています。聞こえにくくなった部分を頭の中で補完すると元の言葉を想像することが可能ですが、進行と共に次第に意味不明の言葉が増えてくるため、コミュニケーション能力の低下も考えられます。

高音部の音量を上げれば正常に聞こえるというのが老人性難聴の特徴なので、補聴器を作る際には低音部の音量をあまり上げ過ぎず、個人の特性に合わせたオーダーメイドが必要になります。

余談ですが、生まれつき感音性難聴を持っていれば「意思表示」が「いいおうい」に聞こえるため、自分の発音も聞こえた通りになります。繰り返し教えても「いしひょうじ」には聞こえないので間違った発音になります。発音できないのではなく、本人は正確に発音しているつもりなのです。

感音部に異常があることは本人には気付きにくく、周りが気付いて耳鼻科でオージオメーターの検査を受けさせることで症状悪化を防止できます。

老人性難聴が起こる原因とメカニズム

老人性難聴の発症と進行の原因は、内耳にある蝸牛が受ける酸化ストレスが原因であり、単にそれを防ぐだけで発症や悪化を防ぐことが可能です。

エネルギー代謝を行うミトコンドリアのDNAにあるBak遺伝子が活性酸素による酸化ストレスを受けた結果、有毛細胞のアポトーシス(細胞のプログラム死)を行うというメカニズムがあり、高音部の有毛細胞から順に障害を受けていく老人性難聴が発症します。

活性酸素に対して抗酸化物質を使う事で、Bak遺伝子の発現を抑えて老人性難聴の発症を防ぐという意味で、臨床上はアルファリポ酸やコエンザイムQ10が使用されて老人性難聴の発現を抑え、悪化防止も可能になります。

老人性難聴は防止できる ~具体的な予防策とは~

65才を過ぎると40%程度に老人性難聴が起きることが判明しています。その前の予防策として、単にミトコンドリアDNAの酸化ストレスを防止すれば、Bak遺伝子による有毛細胞のアポトーシスを防ぎ、老人性難聴は起こらないという結論になり、難聴が悪化している場合は更なる悪化を防止することが可能です。

具体的には、抗酸化物質アルファリポ酸とコエンザイムQ10の摂取により、酸化ストレスを抑制し、カロリー制限によりSIRT3遺伝子タンパクが神経幹細胞死を抑制、加齢に伴って進行する老人性難聴の抑制を行い、カロリー制限は、脳神経・聴神経細胞の消失を抑制します。

サプリメントのアルファリポ酸、コエンザイムQ10もありますが、サプリメントは含有量のばらつきが多い(または、含まれない)ため、処方箋医薬品を服用する方が、長期的な服用に際して安全性も高くなります。

医薬品のアルファリポ酸(チオクト酸アミド)1日量の上限15mg以内の服用量に留め、コエンザイムQ10も同様に医薬品として1日量30mg以内の服用を続けます。厚労省が認可した医薬品の場合は副作用被害救済制度があるので、意外な副作用が起きた場合でも補償を受けることができます。

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