椎骨脳底動脈循環不全を徹底解明

byouin2

後ろに首を曲げたり首を回した時に、気が遠くなったりめまいが起きたり、という事は多くの人が経験しているものです。しかし、整形外科や脳外科では原因不明のまま診断が下されるという理不尽な事が起こりやすい病気が椎骨動脈狭窄症です。

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椎骨動脈に起こりやすい血行障害

これは「血管の圧迫による一過性の虚血発作」であり、症状は頸性めまいと言われるものです。

椎骨動脈とは頸椎の両側にある動脈です。椎骨の中を通る椎骨動脈が脳幹付近で合流して脳底動脈を形成しています。さらに小脳の下部と上部に分岐して、脳幹や大脳に栄養を与えるための血管です。

小脳は内耳からの情報を得て、四肢との協調性を保ちながら平衡感覚や四肢の動きを制御しています。脳幹は運動神経や感覚神経を支配しています。

ヒトは脳幹と小脳の連携により意識する事もなく歩行運動ができます。しかし、小脳の血行障害があると平衡感覚の機能に影響が出てふらつきやめまい、意識の消失などの症状が出ることがあります。これは頸性めまいといわれて、一過性の虚血発作と一過性のめまいなので、検査では発見される事が少ない症状です。

椎骨脳底動脈血行不全の症状と原因

当初は一過性の脳虚血発作でも、何度も繰り返すうちに血栓が飛んで梗塞が出来やすくなります。椎骨動脈の梗塞による血行不全にまで悪化すると、めまい、吐き気、ふらつきがひどくなり、平衡感覚を失って歩行が困難になり、立つことさえできなくなります。

原因として、血栓以外ではコレステロールや中性脂肪が血管壁に蓄積して動脈硬化を起こし血管内径が通常の10%~20%まで狭くなることがあります。これらの原因としては以下の通り。

・脂質異常症による血管内腔の狭窄
・高血圧が原因のアテローム性動脈硬化
・糖尿病による細小血管の血行阻害や出血
・交通事故などの衝撃による頸椎の変形、姿勢の悪さ
・先天的な頸椎の奇形

両側の椎骨動脈に狭窄が見られると椎骨脳底動脈狭窄症により脳幹部の虚血や梗塞、出血が起こり、主に以下の症状が現れます。

・耳鳴り、失神、立ちくらみ、眼前暗黒感
・四肢麻痺・平衡感覚の逸失
・意識障害、発音不明瞭の構音障害
・顔面神経、三叉神経の麻痺
・聴覚障害や視覚障害(複視)、耳鳴り
・Wallenberg(ウォーレンベルグ)症候群
・神経血管圧迫症候群…回転性めまいが反復する
・小脳出血…回転性めまい、嘔吐、ふらつき、眼振

脳幹に異常が及ぶと、中枢神経による生命維持さえ困難になります。

椎骨動脈圧迫が脳外科の検査でもわからない!?

神経学的検査では異常が見つかりにくく、椎骨動脈の狭窄や圧迫は原因不明のまま検査が終わることが多いのですが、本人の自覚症状は明らかなので、他の医師の診断を求めてドクターショッピングを繰り返します。

神経症状がある場合、頸部の検査を行わないのが原因なのですが、脳梗塞が見られない一過性脳虚血発作が原因であるため、画像検査のMRIやMRA(血管造影)では血流の変化が分かりにくいものです。

そこで、マルチスライスCTスキャンや、聴性脳幹反応(ABR)の検査で発作時と通常の状態を比較することにより、血流の悪化などの病態が明らかになります。頸性めまいの症状が顕著であれば、椎骨脳底動脈循環不全が疑われて、然るべき検査と治療が行われます。

椎骨脳底動脈血行不全の治療と予後

椎骨の圧迫による自覚症状があるとしても、日常生活に支障が出るわけでもなく放置しても問題ないと考える人が多いように思えますが、椎骨動脈狭窄の再発を起こしやすく、一過性脳虚血発作のふらつきがあると転落事故の危険も考えられます。

椎骨動脈の狭窄が続く場合に何の処置も受けないとすれば、1年以内に脳梗塞に移行する確率が80%を越えます。めまいや平衡感覚、意識の喪失があれば、再狭窄を防止するために薬物療法が必要になります。

・血栓溶解剤(クリアクター)
・血栓防止剤(抗血小板薬…ワーファリン・アスピリン・タマネギ)
・PGE-1などの血管拡張剤
・めまい防止のための循環改善剤(セファドール)

タマネギの辛味成分に含まれるアリシンは空気に触れて硫化アリルになり、この硫化アリルには血管拡張作用や血栓防止作用があり、ハウス食品グループがイグノーベル症を受けるほど効果が実証された生理活性物質です。

脳梗塞が起きてしまったら?

ひどい目眩やふらつきなど、日常生活に影響を与えるほどの症状があれば、狭窄が起きた血管内を拡張するためにバルーンカテーテルやステント留置術が広く行われています。血管の蛇行や硬化(石灰化)がない限り、ほとんどの狭窄に効果があります。

・脳血流改善剤(アバン)…脳梗塞の術後後遺症治療薬
・シンメトレル(アマンタジン塩酸塩)…脳梗塞後の意欲の改善
・アデホス(ATP)…脳・内臓の血流増加、エネルギー代謝
・ケタスカプセル(イブジラスト)…脳の血流改善、脳梗塞後のめまい
・メチコバール(ビタミンB12)…神経賦活剤

術後の治療薬として、梗塞があった先で起きた酸欠の影響を最小限にとどめるために薬が使われますが、はっきりと実感できる効果は期待できません。出来る限り、血管が詰まる前に予防を行うことが必要です。

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