聴神経腫瘍の症状と治療 ~医療機関によって異なる治療~ | 家庭医学の知識大百科「ヘルスカレッジ」~家族を大病から守るためのサイト~

聴神経腫瘍の症状と治療 ~医療機関によって異なる治療~

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聴神経腫瘍は良性の腫瘍と言われ、発病当初は経過観察が行われるのが一般的ですが、放置していると聴覚に関わる蝸牛神経の圧迫だけでなく、三叉神経、顔面神経、小脳に影響が及び、脳幹部を圧迫すると生命の危険さえ出てきます。医療機関によって異なる治療方法とは?

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聴神経腫瘍の性質と影響とは

聴神経腫瘍とは前庭神経に出来る神経鞘腫(しょうしゅ)といい、神経の束を覆っている被膜に沿って出来る腫瘍です。腫瘍発生初期では軽度の圧迫により蝸牛神経が影響を受けるため、内耳の中でも聴覚に関係する蝸牛神経が圧迫されて難聴と耳鳴りが始まり、次に前庭神経が圧迫されてめまいが起こります。

聴神経腫瘍は神経鞘腫から発生しますが、脳腫瘍の一部に分類されます。1年で数ミリ程度しか大きさが変化しないため腫瘍の中では良性と言われていますが、良性の腫瘍でも経過観察の途中に他の神経を圧迫しながら悪性腫瘍に変化して、小脳や脳幹部へと影響が広がると生命に危険が及ぶようになります。

聴神経腫瘍が腫大する前の対策の必要性

腫瘍が出来た初期は、前庭神経に出来る数ミリ程度の腫瘍ですが、3ミリの大きさでも隣接した聴神経に与える圧迫の影響は大きく、腫瘍が内耳の蝸牛神経に触れるだけで聴力が一気に低下するため、突発性難聴と同じような症状が出ます。

前庭神経の鞘に出来た腫瘍が拡大する場所は小脳と脳幹、内耳に囲まれた狭い空間であり、多くの神経が通っています。蝸牛神経を圧迫して聴力が急激に悪化した後、次第に顔面神経や三叉神経、舌咽神経、小脳、脳幹が腫瘍の影響を受けるようになります。

それぞれの神経が圧迫された場合の症状として、顔面神経痛、三叉神経痛、嚥下困難、平衡感覚の喪失、その他の症状が次第に出てきます。

このため、腫瘍の大きさが周りに影響を及ぼすことを前庭に考えて、悪化防止のために対策を考える必要が出てきます。この対策とは今後の治療法の選択を意味しますが、最悪の場合は十分なインフォームドコンセントがなされた上で、患者の自己決定権が尊重されるという重大な事態になる場合もあります。

聴神経腫瘍の治療方法と診療科

聴神経腫瘍・脳腫瘍の場合は、血管を通して抗がん剤を送り込むことができません。治療方法としては開頭手術、定位放射線治療、ガンマナイフ、被爆のない陽子線治療があり、腫瘍が小さく進行度が遅い場合は経過観察の選択肢もあります。

「侵襲度の低い治療法から進めていき、他の神経に影響が及ぶことを防いで、可能な限り聴神経を温存しながら現状維持を図る」というのが現在行われている聴神経腫瘍の治療ですが、医療機関によって治療方法が異なり、患者が選択できる部分が多く残されています。

これらの手術は「脳神経外科」、「頭頚部腫瘍科」、「頭頚部外科」にて手術を行います。医療機関によって「脳神経外科」に統一されている場合もあり、「耳鼻咽喉科頭頚部外科」など、学会の数だけ診療科が存在します。

聴神経腫瘍治療の流れと患者に残された選択肢

以下は、腫瘍が拡大したときの治療内容と、患者が選択できる治療について説明しています。放射線治療で症状を軽くするか、手術で切り取ってしまうか?などの選択は、主治医の説明を受けた後に患者が選択します。

1)腫瘍が小さい間や大きさの変化が見られない場合は、周囲に与える影響の有無を検査しながら経過観察を行い、聴力の温存と三叉神経や顔面神経への影響を抑えます。ごく小さい腫瘍の場合は摘出手術が有効な場合もあります。

2)経過観察中に腫瘍の拡大(約1.5センチ以上)や聴力の低下があれば、腫瘍を縮小させる目的で放射線治療(主に定位放射線治療)が行われます。頭部への放射線照射はまれに腫瘍を悪化させることがあり、長期的に見ると脳腫瘍の原因になる場合もあります。

3)腫瘍が3センチを超えると神経の圧迫によって、聴力の低下、耳鳴り、めまい、顔面神経麻痺、三叉神経痛、しびれ、ふらつき、その他多くの症状が見られるため、開頭手術による腫瘍摘出が行われます。

4)脳にできた腫瘍の場合は完全に切り取ると他の神経に影響することが多く、リスクを避けるために腫瘍の一部を残します。手術の最後に免疫チェックポイント阻害剤の脳内留置を行い、徐放させると長期間にわたって腫瘍のサイズを維持させることが可能です。可能な限り腫瘍を取り切ると予後は良くなりますが、リスクを伴います。

さいごに

現在の医療として、腫瘍の大きさ次第で選択肢が減っていきますので、定期的な画像検査(磁束密度が3テスラ以上の高解像度MRI)を行い、常に腫瘍の大きさを把握しておく必要があります。そして患者の症状に合わせた治療を選択することになります。

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