脳にできる悪性腫瘍の神経膠腫(グリオーマ)とは?

byouin2

脳腫瘍といえば、脳内で発生する良性の腫瘍、または他の臓器から転移した転移性脳腫瘍が主な腫瘍です。大きさが変わらない限り治療の必要がなく、経過観察が行われるのが一般的ですが、脳にできる進行性の悪性腫瘍として神経膠腫(グリオーマ)があります。果たして神経膠腫の治療法と生存率は?

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難治性の悪性腫瘍グリオーマとは

脳には神経細胞と神経線維、神経活動に必要な神経膠細胞(グリア細胞)の3種類の細胞があります。そのうちのグリア細胞にできる悪性腫瘍の神経膠腫(こうしゅ)はグリオーマとも呼ばれ、転移性脳腫瘍と異なり直接脳に腫瘍が出来るタイプの原発性脳腫瘍に分類されます。

現在では100~150種類に及ぶとも言われる脳腫瘍の80%が良性であり、残りの20%は悪性の神経膠腫(グリオーマ)です。腫瘍の塊が拡大していくタイプと異なり、神経膠腫は腫瘍の一部が脳内に浸透していくことが特徴です。そのため、正常な脳神経細胞と腫瘍(神経膠細胞)の境界が分かりにくいことが原因で治療が困難になっています。

一般的にグリオーマを取り切ることは難しく、高齢の場合は開頭せずに末期医療を行う場合もあり、無理に取り去ること自体が危険な行為とされています。実際問題として、生活の質を低下させずに延命治療を行うことが最も難しい腫瘍がグリオーマと言われています。

神経膠腫(グリオーマ)の症状

大脳皮質のすき間に、悪性腫瘍細胞の神経膠細胞が入り込んで腫大すると、脳の浮腫みにより頭蓋内圧が亢進した結果、脳全体が圧迫されて頭痛や吐き気や嘔吐、目のかすみ、などが初期症状です。

大脳の圧迫を受ける部分によって症状は全く異なり、頭頂葉付近に神経膠腫が及んでいれば、全身のいずれかの器官に障害が見られるようになります。大脳皮質の中でも前頭葉の中心溝の後ろに位置する頭頂連合野という部分がありますが、空間認識、運動視覚、体感感覚、運動制御、言語機能などの多くの認知機能のいずれかの能力が障害を受けることになります。

頭頂葉の下部にある側頭葉であれば、左に言語野があり、他に聴覚や記憶に関する部分があるため、その機能が影響を受けます。要するに、脳の全ての機能のいずれかが障害を受ける可能性があるのが神経膠腫なので、症状の説明をする意味は無いかもしれません。(例外として、小脳と脳幹は小児が大半を占めます)。

神経膠腫(グリオーマ)のグレードと5年生存率

過去にさかのぼると、2006年頃の医療では放射線療法や化学療法が行われてきましたが、2年生存率が20%、5年生存率が8%前後です。

最近では神経膠腫に対してあらゆる治療法が応用されており、新しい臨床試験も行われていますが、2017年でも全体の5年生存率は10%程度であり、治療法が増えた現在でもわずかに2%しか生存率は上がっていません。

ただし、この生存率は一般的な医療機関での平均に過ぎません。

神経膠腫にはグレードが1~4まであり、グレード4の「膠芽腫」以外では絶望的とは言えません。腫瘍の進行度を表すステージと異なり、グレードは腫瘍の種類と悪性度を示しているため、星細胞腫系はグレード2、乏突起腫瘍系はグレード3になります。

医療機関の選択次第では5年生存率が星細胞腫系90%、乏突起細胞腫系100%近くに伸びています。グレード2では5年生存率95%、10年生存率85%です。

これは東京女子医科大学で治療を受けた場合の生存率であり、全国平均の5年生存率10%をはるかに超えています。医療機関によっては余命宣告をされて治療が行われないグレード4の膠芽腫の場合でも、保険適応の光線力学療法の併用により1年生存率100%、3年生存率41%という治療成績を挙げています。

神経膠腫(グリオーマ)のグレードの診断・治療・予後について

以前は生検を行い、腫瘍の組織の一部を取り出して病変組織を調べていましたが、現在では遺伝子マーカーを使って治療が行われるため、遺伝子解析による診断が必要不可欠になります。

また、術中MRIでは高解像度MRI(2テスラ~3テスラ)で患部を確認しながら、覚醒下で聴覚や言語機能、運動機能を確認しながら腫瘍摘出手術を行うため、MRI検査が可能な患者に限定されます。

グレード2の場合は90%摘出後に経過観察、または摘出後に放射線治療と化学療法の併用を行い、グレード3、4では腫瘍摘出後に放射線治療と、脳に届く経口のカプセル抗がん剤テモゾロマイド、テモダール(テモゾロミドのジェネリック)の服用を数年間にわたって行います。適応症は悪性神経膠腫(グリオーマ)であり、保険適応によって、1カ月の負担が1万円以内に抑えられます。

再発した場合は再度摘出手術を行い、同様の抗がん剤で化学療法を続けます。再発の場合は予後が悪くなりますが、直ちに生死に関わるわけではありません。

さいごに

医療機関によって大きい違いがある治療内容と生存率なので、どの医療機関を選択するか?という問題は余命や生活の質に影響します。また、医療費と医療の質も比例するとは限りません。

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