薬剤が原因で筋肉が溶ける薬剤性横紋筋融解症 | 家庭医学の知識大百科「ヘルスカレッジ」~家族を大病から守るためのサイト~

薬剤が原因で筋肉が溶ける薬剤性横紋筋融解症

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横紋筋の壊死、融解を招く原因には四肢の圧迫が良く知られた原因ですが、過度な運動や水中毒、一般的な薬剤によって起きる場合があり、原因の80%以上が薬剤性横紋筋融解症と言われています。

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筋肉が溶ける横紋筋融解症とは

「骨格筋の細胞が融解すると、ミオグロビンや酵素、乳酸、カリウム等が血管中に流れ出し、腎不全による多臓器不全や代謝性アシドーシス・高カリウム血症によって心不全・心室細動に至る危険があります」。

・・・というのが横紋筋融解症の症状ですが、この説明だけでピンときた人がいるかもしれません。

震災や交通事故などで救助が遅れた場合など、骨格筋である横紋筋が長時間の圧迫を受けると起こりやすい症状に「クラッシュ症候群」、または「挫滅症候群」と呼ばれるものがあります。

このとき、何の処置もしないで救助した(圧迫を取り除いた)場合は、血流が再開した時に、細胞に含まれる物質が腎臓を詰まらせて、腎不全や致死的不整脈の心室細動を起こす危険性があります。

※横紋筋とは
ヒトの筋肉は大きく分けて、骨格筋、平滑筋、心筋の3種類がありますが、形状で分類すると骨格筋と心筋の「横紋筋」と、内臓と血管の「平滑筋」に分けられます。主に四肢の筋肉でもある横紋筋とは、自律神経を介さず自らの意思で動かすことができる随意筋の骨格筋を指します。

筋肉が溶けて流れ出す物質

骨格筋でもある横紋筋が圧迫を受けると血流が止まり、主に四肢の筋肉が2時間以上にわたって圧迫を受けると、その先の筋肉が壊死を起こした際に筋肉細胞から腎臓や心臓に影響を与える物質が流れ出します。

横紋筋にはミオグロビンとクレアチンキナーゼという酵素が多く存在して、ミオグロビンはヘモグロビンから酸素を受け取り筋肉細胞内に酸素を一時的に貯蔵する役割を持ちます。クレアチンキナーゼは心筋や骨格筋のエネルギー源として使われるATPを代謝する際に必要な酵素で、この二つが主に腎臓に直接的な影響を与えます。

圧迫を取り除くと、血流の回復とともに腎臓の尿細管という細い管に詰まり腎不全の原因になり、腎不全は多臓器不全を引き起こすため、早急な血液透析が必要になります。

筋肉から流れ出したカリウムは、一気に心臓に達して心室細動などの致死的不整脈を起こすため、医師がパドルを使ってカウンターショック(電気的除細動)により心室細動を止めて洞調律に復帰させる必要があります。

薬剤が原因の横紋筋融解症

横紋筋融解症はクラッシュ症候群などの最悪のケースを考えるとキリがないので、薬剤性横紋筋融解症を例に考えると、前兆に赤褐色のミオグロビン尿があり、血液検査上はCK値(筋肉の壊死の程度を示す)の異常、投薬歴などからも明らかになります。

進行はそれほど急激とは限らないものの、ごく一般的に使われている薬剤の副作用が原因になることから、今後の患者数の急増が予想されます。

薬剤性横紋筋融解症の自覚症状では、横紋筋融解による筋力低下や筋障害があり、倦怠感や筋肉の痛み、四肢のだるさや重さ、脱力感、ミオグロビン尿などの症状が出るようになります。

血液の酸性度を下げるなど、副作用を軽減する対応策や減薬も可能ですが、腎不全になると尿量減少や浮腫が起こり、何の処置もしない場合は多臓器不全で死に至ることも考えられます。

特に危険性の高い薬剤名

横紋筋融解症の原因になる薬剤には多くのものがありますが、最も危険性が高い薬では、コレステロール値を下げて、脂質異常症や心筋梗塞の予防、また痩せ薬として使われている「スタチン系製剤」があります。

スタチン系製剤の服用により、骨格筋のアポトーシス(細胞のプログラム死)が起きることがわかっています。スタチン系の薬剤の中でも脂溶性が強く酸性度が高いほどアポトーシスの発生頻度が高くなります。

抗生物質では、ニューキノロン系やマクロライド系があり、精神安定剤のエチゾラム、抗精神病薬のハロペリドール(ドパミン受容体阻害剤)、降圧剤で最も処方されているアジルサルタンやアムロジンにも危険性があります。

以上の薬剤は通常の代謝や受容体の阻害を行うものが多く、薬でコレステロール値を下げるなど、明らかに不自然な代謝を行わせる薬はそれなりのリスクがあると考える方がいいかもしれません。

さいごに

厚労省認可の医薬品の場合、医師の処方通りに服用していたにもかかわらず、その副作用により入院が必要になるなどの健康被害を受けると、医薬品副作用被害者救済制度の対象になります。横紋筋融解症による腎障害や筋力低下などは救済制度の範囲内になっています。

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