保険外併用療養制度と先進医療について

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2016年4月に始まった保険外併用療養制度とは、保険診療と自己負担診療を併用することが認められた混合医療のことです。保険適用外の医薬品を使用したり未承認の新薬や新しい治療法を試すなど、先進医療を受ける際にも事前検査や入院費など保険適用の分は保険で賄う事ができるようになりました。

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保険適用外の非承認薬・先進医療の有効利用

現在の医療現場では、保険が使える保険適用の入院費や、保険適応対象疾患は公的医療保険内の治療が行われて、それ以上の自費負担が必要な医療は積極的に行われているわけではありません。

セルフメディケーション全盛の今では、ネットにあふれている新薬を含む未承認の医薬品や新しい治療法の情報を得ることは簡単です。その中で効果が認められている新薬があれば試してみたいと考えるのは、患者や家族としても当然の心理です。

保険適用内の医療には限界があり、余命を宣告されて疼痛緩和に徹するより、多少の副作用があるとしても治癒に向けた質の高い医療に可能性を求めるものです。

そこで、厚労省認可待ちの医薬品が使えたり、保険適用内の治療方法があるにもかかわらず先進医療を受けたい場合に、保険診療と自己負担の医療が混ざった混合診療の「保険外併用療養制度」というものを利用する事ができます。

賛否両論の保険内治療と自由診療の混合医療

保険外併用療養制度はすでに始まっていますが、「患者申出療養」、「評価療養」を含み、原則として患者が自らの意思で申し出をする必要があります。しかし患者の意思で未承認の新薬を選択するというのは難しいものです。患者にとっても難しく、医師にとっても面倒な点の多い制度となっています。

「評価療養」とは医薬品が承認されて薬価記載(保険に導入)するための治験を兼ねた投薬と服薬になります。基本的に薬剤は患者の自己負担となり、薬剤についてだけ自費扱いですが、その他の保険適用分だけは公的医療保険でカバーされるという混合医療です。

医療機関は「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する法令」の要件を満たす必要があり、副作用が生じた時は適切な処置を行える医師や看護師、施設が必要になります。医師は患者が服用する薬の効果と副作用について国に報告をする義務を負います。

患者にとっては治験が行われていない新薬を服用できるということもあり、自ら望んだ治療内容なので保険適用の範囲では治らない病気が先進医療で治る可能性があります。

患者申出療養制度により広がる先進医療の選択肢

この制度の利用は「患者申出療養」として、患者が受けたい先進医療としての投薬に関して、医師と相談しながら申請を行う事になります。

申請の基準は通常の治験に準ずる医療になるため、利用に際して病院を経由して国に書類を提出した後、6週間程度の審査期間を経て保険適用内の治療と先進医療を含む混合医療の開始が決定されます。

この制度の対象となるケース

・治験に参加できないが、未承認薬を使用したい。
・先進医療を行う医療機関が近くにない。
・先進医療の対象として該当しないが、効果は期待できる。
・患者申出療養制度を実施している病院が身近にない。

保険適用されない部分は自己負担になるため、以下の通り医療保険に特約が準備されています。

患者申出による先進医療は無制限ではない

加入している医療保険に「先進医療特約」を中途付加しても月々100~500円程度の保険料の追加で済みますが、先進医療を受けた場合は1,000~2,000万円の保険金が支払われます。

同様に「患者申出療養特約」を中途付加すれば、毎月400円の保険料で済み、療養1回当たりの自費分1,000万円までカバーできます。

これらの保険が意味することは、実際問題として「先進医療を選択できる余地が少ない」ということです。仮に患者申出療養制度を利用して先進医療や治験の対象になると、先進医療の自費分が支給されて保険適用分は高額療養費制度で賄えます。

年間1千万円の先進医療が承認された場合は、毎月2~4万円(プラス食費、差額ベッド代)の支払いで済みますが、2017年現在ではほとんど例がありません。

今後については、拡大医療や分子標的薬などの先進医療の範囲が広がる事が予想されるため、患者申出数に制限がかかるかと思われます。治験のサンプル数が増え過ぎてもあまり意味のあることではありません。

※治療費の全額を自己負担すれば審査は不要になりますが、先進医療に患者の意思が全て反映されるとは限らず、医療機関主導の治療になります。

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