余命告知の意味と、病理医・放射線医の不足 | 家庭医学の知識大百科「ヘルスカレッジ」~家族を大病から守るためのサイト~

余命告知の意味と、病理医・放射線医の不足

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腫瘍が見つかると最初に気になるのが良性と悪性の別。悪性腫瘍であれば進行の早さとステージが気になるものです。一般的に悪性腫瘍の検査前には、腫瘍が見つかった場合に告知する相手を同意書に記載してサインをしますが、がんが見つかったからといって死亡するわけではありません。余命宣告を死亡時期と勘違いする前に知っておくことがいくつかあります。

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がんの標準治療と余命宣告の意味

がん治療では患者が希望しない限り保険適用内の標準治療が行われます。悪性や進行性のがんが末期になり、これ以上の治療効果が期待できないと医師が判断すれば余命宣告を行い、治癒に向けた治療は終わります。

患者や家族が「余命3ヶ月であればこれ以上の治療は無駄かもしれない」と諦めると、残された数か月の人生を家族と穏やかに暮らす、または残された人生を一生懸命生きる・・・ということは考えられず、心理的な葛藤が始まります。

これを死の受容過程といいますが、余命宣告ののちに受容に至るまでの心理的な変化です。

1.否認(死を受け入れたくない本能的な考え)
2.怒り(自分が致死的な病気に罹ったことへの怒り)
3.取引(助かったら何でもするという、神頼み的な考え)
4.抑うつ(考えつかれて落ち込む)
5.受容(否認が終わり、死を受け入れて放心状態になる)

この5段階は誰もが経験する一般的なものです。告知から2カ月ほどの期間があれば受容に至ると言われていますが、必要な期間には個人差があります。

余命3ヶ月という意味は、同じ病気の患者の半数が生存できる期間を意味しているので、3ヶ月という期間を意識し過ぎると、人によっては受け止め方の違いにより余命が変化することがあります。さらに標準治療で使われる副作用のひどい抗がん剤治療を選択すると、生活の質が落ちて生きる気力も失いがちで、余命は短くなります。

逆に分子標的薬や粒子線治療などの先進医療の選択肢を増やした場合など、治る可能性が示されただけでも患者にとって精神的にも楽になるというメリットがあります。自己負担とはいえ、余命宣告に関係なく5年以上生存することもあり、治癒することも十分に考えられます。

また、頼んでいないのに余命を告知されたり、他に考えられる治療法があるにもかかわらず、その選択肢を与えなかった場合は自己決定権を無視したことになり人権侵害につながります。

がん専門医、病理医の不足が招く「がん治療格差」

がんの正確な診断を行うために、病理医やがん薬物療法専門医の診断が必要になり、治療は放射線医が行いますが、新しい薬物療法や先進医療に詳しい専門医にはなかなか出会えないものです。

通常、がん治療の前には病理医ががんの種類を判定して治療方針が決まります。しかし、がんの種類や悪性・良性の判断ができる病理医の数が少ないため、一般の外科医が診断を行うと悪性腫瘍に留まることが多く、がんと確定診断されるのは末期に至った場合です。

治療薬に何を使えばいいか判断ができないまま、副作用の多い抗がん剤が使われて、副作用の多い放射線治療が行われます。新しい薬を使えば治る患者でも選択肢を与えられる事もなく標準治療が行われて、悪性腫瘍のまま終末期医療が行われることがあります。

がんの診断を下す専門医が少ないため、診断が悪性腫瘍ではがん保険が下りることもなく、先進医療特約も使えず、障害者認定も行われません。さらに、放射線治療を行う放射線医が少ないという医療現場の事情も関係して医療の質に格差が出ます。

患者が決めるべき選択肢を増やさず標準医療に徹する場合、その医師の余命宣告は根拠がないと言えます。

先進医療や分子標的薬が使える医療機関の選択

診断が悪性腫瘍のままで、結果的に治療の選択肢を減らしているのは、病理医やがん薬物療法専門医の不足が原因です。悪性リンパ腫を「悪性腫瘍」と診断しながら余命宣告する外科医がいれば、最初から「がん」と診断して検査や治療方針を決める腫瘍科のがん専門医もいます。

病理医と放射線医がいる医療機関では、細胞診の結果がんと診断されると、治癒に向けて使用可能な分子標的薬や有効な放射線治療が選択できます。標準治療では治らないというわけではありませんが、先進医療の有効性が示されるという意味では患者の選択肢が広がります。

重粒子線治療が300万円、分子標的薬が年間1,500万円なので、自費で支払うことは容易とは言えませんが、投与量を減らして投与間隔を開けることは可能で、腫瘍が縮小すれば手術が可能な範囲になることも考えられます。

効果は明らかなので、生命保険に先進医療特約(後払いではないタイプ)と、今後使えるかもしれない患者申出療養特約を付加しておく方がいいかもしれません。治療中に健康保険の適用になる可能性も期待できます。

保険外併用療養制度や治験薬が使えるコンパッショネート・ユースも専門医に依頼できるという意味でも、治癒に至る可能性を求める場合は、最初に然るべき医療機関を選択することが必要になります。

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