
甲状腺は喉仏の下にある器官(腺)で、甲状腺ホルモンを産生・分泌しています。甲状腺ホルモンは、成長・燃焼率・代謝率・心拍数・呼吸数などに係わり、細胞レベルでその役割を果たしている重要なホルモンです。甲状腺の病気として、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、甲状腺がん、稀に甲状腺機能不全などがあります。 スポンサードリンク
ー甲状腺機能亢進症とはー
甲状腺ホルモンの分泌量が多過ぎる状態で、身体機能の活性度が上がり、代謝速度も速くなります。心臓に与える影響が大きく心拍数や血圧の上昇・不整脈・体重減少なども起こります。放射性ヨードを取り込みやすくなるので被爆量が増えます。発症の原因としては、甲状腺炎や放射線の被曝による炎症、下垂体の亢進が甲状腺を刺激することで甲状腺ホルモンの分泌につながります。
甲状腺ホルモンをやせ薬として含有させているサプリもあり、服用を続けると体重は減少しますが甲状腺中毒症になります。そして、倦怠感や動悸などの面倒な中毒症状が出てきます。甲状腺中毒症は内因性ですが、外部から摂取した場合は外因性甲状腺中毒症になります。内因性、外因性に係わらず、血液中の甲状腺ホルモンが増える事によって中毒症状が引き起こされて甲状腺機能亢進症の症状が出てきます。
他の原因としては薬剤が誘発する甲状腺機能亢進症として、検査用のヨード含有の造影剤やリチウム、インターフェロン、去痰剤に含まれるヨードの過剰摂取、心臓疾患の特定の薬などが原因となります。
ー甲状腺機能亢進症の治療ー
治療は年齢によって異なってきます。若年の場合は甲状腺の切除が行われる場合が多くなっています。切除を行えばその後は薬を服用することもなく日常生活にも問題はありません。手術の後遺症が残った場合は生涯にわたって甲状腺ホルモンの投与が必要になってきます。合併症などを含めると手術のリスクは大きなものですが、90%の成功率と言われています。
治療方針が決まればβ遮断薬などの投薬が行われます。甲状腺機能に作用して甲状腺ホルモンの分泌量を一定に保ちます。放射性ヨウ素の経口投与による治療もありますが、この場合は甲状腺の機能抑制のための投与で、甲状腺の機能を保ったまま治療をするか、甲状腺の機能を失わせるか?という二択になります。
ー甲状腺機能低下症とはー
甲状腺の障害によって甲状腺ホルモンの分泌が下がることで症状が出てきますが、原発性の場合は甲状腺が壊されることで機能低下を招きます。高齢の女性に多く発症する傾向にあります。特に多い原因として甲状腺亢進症の投薬治療中や、手術の後遺症として10%程度が発症します。
症状としては、貧血と心不全により虚血状態になることで、脳の障害が出てきます。意識喪失や昏睡、錯乱などがあり、脳の血流低下による多くの神経症状が引き起こされます。身体機能では代謝の遅れにより動作や表情、思考に影響します。体重の増加も見られて、副交感神経が優位になっている全身状態が続きます。
治療としては基本的に甲状腺ホルモンの補充ですが、経口であったり、症状によっては静注も行われます。

コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。