筋ジストロフィーが招く、小児期の筋力低下と遺伝子治療

sinndann

早期に発病するタイプでは出産後に発病して、全身の筋力低下により20歳前後に死亡すると言われてきた遺伝性の難病です。現在では遺伝子タンパクの解明や病態によって、その発病年齢や進行度など次第に明らかにされています。病態によって様々なタイプに分類されて延命を図る事が可能になってきました。そして、最近の遺伝子治療により治癒も期待できるまでになっています。

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ー日本人に多い福山型と治療法ー

筋力低下と筋委縮を招く遺伝子疾患ですが、大きく分類するとデュシェンヌ型とベッカー型に分けられます。しかし、日本人に最も多い先天性筋ジストロフィーとして福山型があり、日本人しか持たない遺伝子変異により異常な遺伝子タンパクが生成されて発症した後に筋肉や脳の発達異常が起こります。

福山型筋ジストロフィーでは出生時から発病しているため、筋力と脳の発達が遅滞があり何歳になっても歩くことができないのが特徴で、生涯車いすの生活になります。痙攣を併発することがあるので症状から病名は判断できますが、確定診断には遺伝子検査が行われます。心不全によって10代~20代で死亡すると言われていましたが、最近では30代まで生きることもあります。

「福山型筋ジストロフィー」の患者の細胞に3種類のモノフォリノを混合したアンチセンス(特定のタンパク合成阻害を行うアミノ基)を投与することで、異常な遺伝子タンパクの生成を抑えて正常なタンパクを作りだすことに成功。他の遺伝子に影響を及ぼさないなどの課題は残されていますが、根本的な治療法になると言われています。またはiPS細胞による遺伝子修復が先に行われるかもしれません。

ーデュシェンヌ型の症状と治療法ー

一般的に筋ジストロフィーといえば、最初に見つかったデュシェンヌ型筋ジストロフィーを指します。これは5歳以下の男児が発症して進行性の筋力低下が起きるのが主な症状であり、筋力低下は左右対称に起きて初期には大腿筋に起こります。10歳頃に車いす生活になります。歩行できる時であればステロイドの投与が有効とされています。

心筋や横隔膜の筋肉が減少していくことにより、心不全や呼吸不全により20代で死亡すると言われてきましたが、AEDの普及や呼吸困難に陥った時の気道確保などの処置を行える者が増えてきたこともあり、10年近く余命を伸ばす事が可能になっています。といっても対症療法に過ぎず根本的な治療法は確立されていませんでした。

京都大ではiPS細胞を使い、3段階の遺伝子操作でデュセンヌ型筋ジストロフィーの遺伝子修復に成功。他の遺伝子に影響を及ぼすこともなく、筋ジストロフィーの原因となるジストロフィン遺伝子だけを修復することに成功。現在ではエクソン・スキップ治療による遺伝子治療が行われようとしています。

ー筋強直性ジストロフィー1型の症状ー

他の筋力低下と違い、筋強直と多臓器の委縮が起きるのが特徴。平均寿命は55歳程度といわれています。親より子、子より孫の方が症状が悪化します。強直性筋ジストロフィー2型もありますが、日本では1家系しか存在しないので治療法の解明が進んでいるのかどうかも明らかではありません。ただ、子孫を残すほど筋強直が重症化していくことは判明しています。

原因となる遺伝子の異常が起こる場所として、第19染色体19q13.3に存在するDMプロテインキナーゼ遺伝子の領域でCTGが反復する領域があり、5~37回が正常、100回以上の反復で筋強直性が認められ、重症患者の場合は1,000回以上の反復があります。この遺伝子配列の繰り返しの回数が筋強直の重症度に比例します。

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