肝障害と肝臓特有の再生能力 ~脂肪肝が正常な肝臓に~ | 家庭医学の知識大百科「ヘルスカレッジ」~家族を大病から守るためのサイト~

肝障害と肝臓特有の再生能力 ~脂肪肝が正常な肝臓に~

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ヒトの肝臓は最も再生能力が高い臓器であり、正常な肝細胞であれば損傷を受けた場合でも、部分切除により3分の1程度残っていれば約6か月で元の大きさに戻ります。細胞のダイレクト・リプログラミングやiPS細胞による再生医療全盛の中で、ヒトの肝臓は最も大きな再生能力を持ち、「トカゲのしっぽを切っても元の形に戻る」という再生能力以上の機能を持っています。

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ー肝臓の持つ従来の再生能力ー

人体の組織や器官に損傷を受けた場合、自動的に再生する能力を持っているため血管や皮膚などはある程度のダメージを受けても元の形に修復されます。しかし、哺乳類の再生能力は極めて限定的なものであって、足を切り落としても元の形に戻りません。

これを実現しようというのが再生医療であって、足の切断面の細胞核にダイレクト・リプログラミングを行うと、元の足の形に再生されるというものです。(血管、神経、リンパ管に関しては現在の段階では不明です)。iPS細胞を使った場合は、今のところ外部で培養した細胞を使って移植する方法しか行われていません。

しかし、肝臓だけは例外として高い再生能力を持っていることが知られており、肝臓が損傷を受けた場合に最大75%の部分肝切除を行っても、正常な細胞が残っている場合は元の形に肥大した後に再生されます。正確に表現すると、実質的な再生ではないので元の形には戻りません。肥大によって元の大きさを取り戻すと同時に肝機能が回復されるということになります。

ー肝臓のもう一つの再生能力ー

現在では生活環境や食生活などに影響されて肝臓はダメージを受けています。アルコールや生活習慣病でもある脂質異常症、薬物、ウィルスによる影響などが大きなものですが、沈黙の臓器とも言われて障害が起きても無症状である期間は長くなっています。これは、肝臓が沈黙しているだけでなく、肝細胞の障害を受けた部分が再生を繰り返すことで、結果的に無症状の期間が延びているのですが、それに気づかず肝臓を酷使すると、肝細胞の線維化によって次第に再生能力を失っていきます。

しかし、肝臓は障害の程度によって異なる再生を行う機能があることがわかっています。「肝前駆細胞」といわれるもので、正常な肝細胞の中では存在が見られない前駆細胞が、薬物や中性脂肪、ウィルスによってダメージを受けると現れてきます。

脂肪肝やアルコール性肝炎、劇症肝炎や、更に悪化した場合は、通常の肝細胞の肥大による再生能力は衰える、または再生能力が消失しますが、未分化細胞や肝細胞の元になる肝前駆細胞が活性化する現象が見られます。正常な細胞の場合に限って元の大きさと機能を回復することができるものの、肝臓全体に損傷を受けた場合は別のメカニズムによって再生が行われようとします。しかし、実際に再生が行われなかったのが過去の医療です。

ー遺伝子操作による肝臓本来の再生ー

劇症肝炎や急性肝炎の患者にFGF7が急増していたことから、細胞間での情報伝達を担うFGF7という遺伝子タンパクが肝前駆細胞を活性化させることが判明したため、ダメージを受けて再生能力の無くなった肝臓でも、遺伝子操作を行うことで再び肝臓の再生が行われます。

この肝臓の再生能力によって、人間の臓器が本来持ち合わせている再生能力を増強することで、他の臓器への応用を行う試みが始まろうとしています。

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