アスベストによる肺機能障害と、今後も増えるアスベスト被害

kaitai

アスベストによって健康被害がもたらされた作業員の損害賠償判決が、いまだに続々とニュースで入ってきます。20世紀に起こした損害賠償請求訴訟がやっと地裁で判決が下りたという程度で、これから高裁を経て、最高裁では憲法解釈でもめるのでしょうが、それだけ多くの被害者が未解決のまま残されているのかもしれません。

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ーWTC解体に伴う呼吸器障害ー

アメリカの911のWTCビル老朽化に伴う大解体では、アスベストの使用部分が多かったため強引に制御解体が行われました。アスベストを大量にばらまいた影響による健康被害は、主に救助や除去に携わった人のほとんどに呼吸器障害があり、1,600人以上に及ぶ消防隊員に「WTC咳」という症状がみられたといいます。

当初から、アスベストによる健康被害だけが懸念されていましたが、PCBやダイオキシンまで検出され、解体に係わった作業員の血中水銀濃度が高くなったという報道もあります。付近の住民にも影響は及び、解体の際の大気汚染が原因による呼吸器障害や咳、頭痛などが起きていると言われ、救助にあたった消防士は7年後も肺機能の改善が見られないということです。

ーアスベストが及ぼす肺疾患ー

シックビル症候群やシックハウス症候群の中でも、原因物質としてアスベスト(石綿から作られたガラス繊維)があり、代表的な疾患では肺胞に入ったガラス繊維は、免疫細胞のマクロファージによって捕食されてます。マクロファージが死滅した肺胞は瘢痕化します。

瘢痕が増える事で肺の機能が次第に失われていきますが、鉱物が原因なので除去することは困難です。症状が進行していくと息切れや呼吸不全に陥ることもあり咳や喘息のような喘鳴が聞こえようになります。これがアスベスト肺と呼ばれているもので、壊死を起こした肺胞はどのような治療を行っても元に戻ることはありません。

胸膜の中にできる中皮腫という癌ができることもあり、胸水が溜まることで肺の呼吸機能は更に失われていきます。中皮腫の場合は肺切除手術や化学療法などは意味を成さず、治療方法がないため数年以内に死亡します。

ー大気汚染防止法とアスベストー

アスベスト繊維が原因となる健康被害では、断熱材や防音材、耐熱材として住宅やビルに使われて、生活環境の中に発がん物質でもあるアスベストが蔓延することになり、2005年以降は大気中への放出が禁止されたため大気中のアスベスト濃度は下がってきましたが、規制が行われていない屋内や学校の校舎内のアスベスト濃度は高いままです。石綿の代替品がなかったため、日本では移行猶予期間を経て2012年に全面的に製造中止になりました。

1リットル中に500本の石綿の線維があれば、生涯で肺がんのリスクがあると言われていますが、大気中には1リットル10本程度存在します(家屋解体や車のブレーキ、クラッチなど)。家屋の室内では多い場合で1リットル中に3,000本程度と言われ、工場を超えるレベルのアスベストが舞っているケースもあります。

老朽化した建物の解体により、今後2020年~2040年にかけて過去最大のピークを迎えるといわれており、国内で数百万トンのアスベストが大気中に舞うという計算です。

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