2021年月組『ダル・レークの恋』を調べると、ペペル役に暁千星と風間柚乃、クリスナ役に風間柚乃と夢奈瑠音の名前が出てきます。これは資料の食い違いではありません。
公式の配役表が、東京のTBS赤坂ACTシアターと大阪の梅田芸術劇場シアター・ドラマシティを分けて掲載しているためです。
「月城かなと主演の2021年公演」と分かっていても、風間柚乃の役は会場によって違います。どの資料を見れば迷わず調べられるのでしょうか。赤坂と大阪の配役を並べ、初演からの作品史もたどってみます。
情報確認日は2026年10月11日です。
先に要点:赤坂のペペルは暁千星、大阪は風間柚乃。風間柚乃の役はクリスナからペペルへ、夢奈瑠音は金の男Aからクリスナへ。主演の月城かなと・海乃美月は共通です。
同じ2021年公演、赤坂と大阪で何が違う?
主演は両会場とも月城かなと、カマラ役は海乃美月です。公演は赤坂が2021年2月16日〜28日、大阪が3月14日〜21日。大阪の会場はシアター・ドラマシティで、同じ梅田芸術劇場にあるメインホールとは区別する必要があります。
公式公演ページには、当初2020年9月5日〜23日に予定されていた全国ツアーの中止と、公演日程・会場を変更する案内も残っています。
「2020年の全国ツアー」と「実施された2021年の二会場公演」を一つの記録に混ぜると、日付も配役も追いにくくなります。
以下では二つの上演を赤坂・大阪と呼び分けます。映像や写真の説明を読む時も、公演年の隣に会場名があるかを見てみてください。
| 2021年の会場 | 期間 | 主演の役 |
|---|---|---|
| TBS赤坂ACTシアター | 2月16日〜28日 | 月城かなと=ラッチマン/海乃美月=カマラ |
| 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ | 3月14日〜21日 | 月城かなと=ラッチマン/海乃美月=カマラ |
ペペルは誰?会場を変えると答えも変わる
公式配役表は「会場により一部、配役が変わります」と明記し、暁千星についてはTBS赤坂ACTシアターのみ出演と注記しています。赤坂のペペルは暁千星、クリスナは風間柚乃。大阪ではペペルが風間柚乃、クリスナが夢奈瑠音です。
ここで大切なのは、風間柚乃の名前を見つけただけでは役を確定できないことです。赤坂の資料ではクリスナ、大阪の資料ではペペル。
同じ2021年月組の公演であっても、検索結果や写真の説明に会場がなければ、公式表まで戻って確かめる必要があります。
夢奈瑠音は赤坂の表で「金の男A」、大阪の表で「クリスナ」と記載されています。大阪の表には「金の男A」という行がありません。
ただし、掲載されていないことだけを根拠に、その場面や役そのものが舞台からなくなったと断定することはできません。配役表が示す範囲と、演出全体の変更は別の情報です。
| 役 | 赤坂 | 大阪 |
|---|---|---|
| ペペル | 暁千星 | 風間柚乃 |
| クリスナ | 風間柚乃 | 夢奈瑠音 |
| 金の男A | 夢奈瑠音 | 同名の行は掲載なし |

風間柚乃を追ってみると、二つの役が見えてくる
役を基準にした表は「誰がこの役を演じたか」を調べるのに向いています。出演者を基準にすると、風間柚乃のクリスナからペペルへの変化、夢奈瑠音の金の男Aからクリスナへの変化を一度に確認できます。
二つの表は同じ事実を、異なる問いに答える形で並べたものです。
一方、ラッチマンの月城かなと、カマラの海乃美月は共通です。インディラの梨花ますみ、アルマの夏月都、チャンドラの千海華蘭、ミシェルの楓ゆきも、両方の公式表に同じ組み合わせで載っています。
主演だけが共通なのではなく、周囲にも連続する配役があります。
また、蓮つかさは「酒場の亭主/ハリラム」、佳城葵は「支配人/ポトラジ」と両会場で記載されています。スラッシュで二つの役名が並ぶ表記も、そのまま読むことが大切です。
一人の名前に一つの役名だけを結びつけた人物一覧では、こうした複数役の情報が落ちてしまいます。
好きな出演者を追うなら「人から読む表」、役の出演者を確かめたいなら「役から読む表」が便利です。なお、配役が変わった理由や演技の違いは、この表だけでは分かりません。
| 出演者 | 赤坂での記載 | 大阪での記載 |
|---|---|---|
| 暁千星 | ペペル | 赤坂のみ出演 |
| 風間柚乃 | クリスナ | ペペル |
| 夢奈瑠音 | 金の男A | クリスナ |
初演は1959年!再演の歴史をたどってみよう
作品は菊田一夫の作。2021年の公式紹介では、1959年に春日野八千代の演出・主演で初演されたと説明されています。
古い作品というだけではなく、初演の時点で演出と主演の両方に春日野八千代の名前があることが、作品史の最初の手掛かりです。
次の節目は1997年、麻路さき主演の再演です。公式紹介は、この時にレビューシーンを盛り込んだ一本立てにリメイクされたと記しています。「再演だから同じ脚本をそのまま上演した」とは整理できません。
物語を扱う公演形式にも変化があったことが、公式資料から分かります。
2007年は瀬奈じゅん主演の全国ツアーでした。当時の公式ページでは潤色・演出が酒井澄夫と記載されています。2021年は監修が酒井澄夫、潤色・演出が谷貴矢。
同じ作品名でも、スタッフ欄の担当の違いまで読むと、再演のつながりと新しい制作体制を両方確認できます。
潤色は、上演に向けて原作や台本を整えることです。2021年のスタッフ欄を読むと、酒井澄夫が監修に回り、谷貴矢が潤色・演出を担当したと分かります。場面や台詞がどう変わったかを知りたい場合は、それぞれの台本や公演映像も必要になります。
2007年の会場記録では、初日の5月22日は梅田芸術劇場メインホール、最終日の6月18日は市川市文化会館です。2021年大阪のシアター・ドラマシティとは異なります。
「大阪で上演された月組のダル・レーク」という短い説明だけでは、公演年と劇場が特定できないことにも注意したいところです。

どんな恋の物語?ラッチマンとカマラから知ろう
2021年の公式作品紹介は、インド北部カシミール地方のダル湖を舞台に、若い騎兵大尉ラッチマンと貴族の娘カマラの身分違いの恋を描くと説明しています。
出演者をまだ詳しく知らない人は、まずこの二人を物語の中心として押さえると、主演の役名を覚えやすくなります。
家族関係をより詳しく書いているのは2007年の公式あらすじです。その紹介では、カマラはチャンドラの孫娘、インディラは祖母として描かれ、クリスナとアルマは夫妻として登場します。
湖畔で過ごす夏の終わりと、翌日のハイデラバッドへの移動が、恋と家の事情を結びつけています。
この家族関係や旅程は、2007年の公式あらすじをもとに紹介しました。2021年の演出がすべて同じだったという意味ではありませんが、恋を取り巻く家の事情を知る入口になります。
公式PR映像、配役表を開いて見ると発見がある!
宝塚歌劇の公式チャンネルには、作品名を掲げたPR映像「THE LOVE AT DAL LAKE」があります。公開日は2021年11月12日です。この動画公開日を、そのまま公演日と考えないようにしましょう。
2021年の実際の公演期間は、上の会場表に整理した2月と3月です。
映像から作品に興味を持ったら、次に配役表を開いてみると、役名と出演者を結びつけやすくなります。収録会場は動画の題名だけでは特定できないので、映像商品の説明などに公演日・劇場名があるかも確かめてみてください。

私も、名前だけで読み飛ばさないようにしたい
もっと調べたい人へ、公式資料はこちら
2021年月組の公式配役表:二会場の役と出演者、暁千星の出演会場。
2021年の公式公演ページ:公演日程・会場変更の案内と開催期間。
2021年の公式作品紹介:初演・再演の歴史、スタッフ、物語の概要。
2007年月組全国ツアーの公式記録:当時のあらすじ・スタッフ・劇場日程。



主演が同じだと、つい「同じ公演」とひとまとめに見てしまいますよね。私も今回、配役表を並べてみて、風間柚乃の名前だけでは役を決められないところが気になりました。
好きな人の名前から読むと役の変化が見え、好きな役から読むと出演者の違いが見える。次に昔の公演を調べる時も、この二つの読み方を試してみたいです。